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Bar【Philly's】コミュの「ズージャ」ってもう使わないだろう

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ジャズ好きな男たちの間で、言葉を逆さにして語り合うことが流行った時期がある。戦後間もなくアメリカ文化が日本に蔓延したころで、恐らく1940年代の後半から始まり、1960年の初期ぐらいだろう。

初老の二人が店の扉を開けて、「スィングのレコードはありますか?」と尋ねたので、「エリントンとベーシー、ハリー・ジェームス、グッドマンなら置いていますけれど」

店の少し高めのカウンターに、足が少し届かないほどの椅子に腰をかけて、「すみませんが、エリントンの喫茶店の娘の入った曲をかけてくれませんか」と細面の男が言った。
もう一人は「エリントンならA列車かキャラバンだろう」と体系が丸い男は問いかけた。

「いやね、もう40年ほど前に『サテンドール』が好きな女の子がいて、その子がどうなっているかなぁ、と感傷的になったんだよ」

「そうか、あの頃は楽しかったよなぁ。ジャズってカッコ良かった。ちょっと飛んでいる先輩なんか、『ズージャ』とか逆さまに言ってただろう。今なら軽薄に思えるけど、それが進んでいると思ったもんだよ」

「中学校の英語の時間に、先生が『Whatever the boss of the house says.』を訳せと当てられ、『全ては親分の言うとおり』と答えたら、髪をカールした女子がそれは『亭主の好きな赤烏帽子』ですと言って褒められていた。先生は俺に『もっと上品な言葉を使え、訳は間違ってないよ』と言ってくれた」細面の男は続けて、「そのカールした女の子が休憩中に、『あの訳の方が正しいかもしれんねぇ。いまどき亭主の赤烏帽子なんてほとんど誰も知らへんもん』と言いにきてくれて、その子にフォーリン・ラブや」

「お前はその頃から単純だったからな。それでその子とどうなったんや」

「彼女の家に行ったらステレオがあって、ジャズのレコードが棚にいっぱい並んでいた。いつもデューク・エリントンの曲を聴き、サテンドールの曲の時は雰囲気が違っていたことを思い出す。純真で今の中学生と違って手を握ることもせんかった」

「せやなぁ、そういう時代やったなぁ」

しばらくロックを飲みながら聴いていて、レコードが終わった後に、「テープですが、マリアン・メイフィールドのサテンドールを聴かれますか」と問いかけた。

私がアメリカに住んでいた時、日本人で17〜18歳ぐらい年下の女性に『ジャズハウスへ連れて行って欲しい』と頼まれ、週末ライブのやる店へ一緒に行きました。彼女がマリアンにリクエストした曲がサテンドールで、許可をとってテープレコーダーに収めました。

「帰りのタクシーの中で、『サテンドールに思い出があるんですか』って聞いたら、『初恋の人とよく一緒に聴いた曲でした』って答えていました。多分、お客さんと年格好は似ていますが、女性ですから4〜5歳は若かったように思います」。

マリアンの歌が終わった後、彼女のことを聞かれましたが、私は日本人のその女性のことは全くと言ってほど知りません。ただ美しい言葉を喋る人で、「サテンドール」が好きだったことしか知りません。

二人の男性はもう少し話したそうでしたが、終電車の時間のためか、名残惜しそうに静かにドアを閉めました。

コメント(3)

スピーク・ロウ様
行ってみたくなるバーですね。
イメージは、ややうす暗く壁にはホッジスとエリントンの写真が飾ってある。
そしてカウンターと椅子は茶系の木で出来ている・・・。
そのカウンターに座り「バック・トゥ・バック」を聴きながらIWハーパーをストレイトで飲む。
こんな事を考えながら読んでおりました。
KAMIさん、ようこそ、いらっしゃいませ。

この店はもう客は来ないだろうと看板だけ掲げていたんですけど、よく探し当てましたね。

Jazzのコミュニティがある中で、スピーク・イージィに徹した店で、昔風に客の気持ちは考えても迎合しない店です。だから思い思いのジャズを語り下さい。

IWハーパーはドイツ系移民のイサーク・ヴォルムが弟と一緒に始めたのは1877年で、自分のイニシャルとアメリカの有名人のハーパーをくっつけたといわゆる名前の由来でしたね。昔と比べトウモロコシの使用比率が高く、「我々はチキンからルースター(rooster)へ格上げになったか」という会話が聞こえてきます。

それにもまして、神様ジョニー・ホッジスのアルトサックスを上げ、デューク・エリントンやパパ・ジョー・ジョーンズを抑えるなんて、これは珍しいお客さんです。

どうぞ御贔屓に・・・
マスター、今日はレスター・ヤングを聴きたい気分だ。
「プレス・アンド・テディ」をかけてくれ。
プレスとウィルソンが会話を楽しむかのようにプレイする・・・。
ジョー・ジョーンズの太鼓が粋だ。
今宵は、ワイルドターキーの気分だ。水はいらないよ。

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