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淡江大学日本留学試験同好会コミュの芝浜(落語)

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分野別:古典落語
作者:不明
出所:古典落語ネタ帳
リンク→http://homepage3.nifty.com/~tomikura/rakugo/s.html#SHIBAHAMA
掲載年月日:2006年10月15日
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(本文)


あるところに有能な魚屋さんがおりました。彼が魚河岸で選んでくる魚は新鮮で評判良かったのですが、あいにく彼は、なるべくなら働きたくない人でした。そんな彼が、浜辺を歩いていると、財布を拾います。中には42両もの大金が。家に飛んで帰って、奥さんに報告し、ほっとしたのとお金があるという安心感から、お酒を飲んで寝てしまいます。

 翌朝目がさめると、奥さんがいつものように「働きに行け」と言います。なにいってんだい、昨日、42両のお金を拾ったじゃないか。あれがあればしばらく寝て暮らせると男が言うと、奥さんはあきれた顔をして、

「寝ぼけたことを言ってんじゃないよ。情けないねぇ。いくら貧乏だからって、そんな夢を見るなんて。お前さん、しっかりしとくれよ。あたしは、貧乏が嫌だって言うんじゃない。そりゃ、お金があるにこしたことないけど、あんたがちゃんと働いて、それで稼いできたお金があれば十分だと思っている。なにしろ、あんたの目利きは確かだからね。ちょっとその気になれば、2人が生活するぐらいの稼ぎはなんでもないんだろ。それとも、腕はさびついたのかい」

 などと言われて、男は心を入れ替え、大好きな酒も断ち、仕事に精を出すようになります。そうすると、元々腕はいいわけですから、3年も経つと、小さいながらも表通りに店を構えるようになり、若い者の2、3人も使うまでになります。

 その3年目の大晦日。

 奥さんが、改まった顔をして古い財布を男の前に差し出します。

「お前さん、この財布に見覚えがあるでしょう。中には42両入っています。3年前、あんたが芝の浜で拾ってきたときには、弱ったことになったなぁ、あんたのことだから、こんなにお金があったら、明日から働かないだろうなと思っていたら、あんたがお酒を飲んで寝てくれたので、とにかくお奉行所にお金を届けて、お前さんには夢だ夢だで押し付けたら、あんたは人がいいから、すんなり信じてくれて、好きなお酒もやめて一生懸命働いてくれるようになって……。このお金もずいぶん前に落とし主がいないからといって、奉行所から戻ってきたんだけど、せっかくお前さんが真面目に働くようになったのに、こんなものを見せて、またお酒でも飲まれたらと、心を鬼にして今日まで黙っていました。幸い、お店も順調で、もうお前さんがお酒を飲んで少しぐらい怠けても、お得意さんに迷惑をかけることもないだろうし、そう思ってこのお金を見せて、今まであんたに嘘をついていたことをお詫びして……。腹が立つだろうねぇ。今まで連れ添う女房に嘘をつかれて……。今日は、あたしは覚悟を決めてますから、あんたが気にすむように、殴るなりなんなりしてください」

 こう言われて、殴るようじゃ、男じゃありませんね。夫は、妻に感謝します。気分直しにと、妻は夫にお酒を差し出します。3年ぶりのお酒。男は嬉しそうに杯を口元まで運びますが、

「やめとこう。また夢になるといけない」

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