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香港ノワール映画−英雄片−コミュの【香港ノワール/絶頂期】実録 狼たちの挽歌

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原題:三狼奇案(Sentenced to Hang)
香港 ゴールデン・ハーベスト/ジョニー・マック・プロダクション作品 89年 113分 カラー 香港エンターテインメント映画祭'91にて上映(ビデオ)

製作総指揮:レイモンド・チョウ/ジョニー・マック 製作:スティーヴン・シウ 監督:テイラー・ウォン 脚本:スティーヴン・シウ/ジョニー・マック 撮影:ハーマン・ヨウ 音楽:ジョセフ・チャン
出演:レオン・カーフェイ/ケント・チェン/チョイ・カムコン/キャリー・ン/シャン・テン・オウ/スチュアート・オン/ティエン・ファン/ワン・ライ

−解説−
1960年代初め、高度成長前の貧しい香港で実際に起きた有名な事件を元に、出来心から誘拐殺人に手を染めた3人の男が、逮捕され死刑執行されるまでを描いたサスペンス・ドラマ。出演は『愛人/ラマン』(92年)などのレオン・カーフェイ(梁家輝)、『新ポリス・ストーリー』(93年)などのケント・チェン(鄭則士)、『ドラゴン・イン』(92年)などのチョイ・カムコン(徐錦江)、『カップルズ』(96年)などのキャリー・ン(吳家麗)、『風の輝く朝に』(84年)などのスチュアート・オン(翁世傑)、『ヤング・マスター』(80年)などのティエン・ファン(田豐)ほか。『黒社会』(89年)などのテイラー・ウォン(黃泰來)監督、89年作。

−物語−
60年代初めの香港。少年時代、義兄弟の契りを立てたワイ(梁家輝)、キン(徐錦江)、チャン(鄭則士)の3人。成人後ワイは会社の下働き、キンは運転指導、チャンはメイク係で生計を立てていた。ワイの上司ウォン親子の横柄な態度に腹を立てた3人は、脅かすつもりでウォン(田豐)の息子カウ(翁世傑)誘拐を思い立つ。ある夜酔いつぶれたカウを連れ出すが、激しく抵抗され殺した。遺体の耳を切取りウォンに身代金の脅迫状を送り付けた3人だが、要求した金額が振込まれず今度はウォンを誘拐監禁する。100万ドルの脅迫状を持たせて解放し、3人は遂に大金を手に入れるが、手伝った弟分ミンが裏切り警察に追われることに…。

コメント(1)

中国本土からの密入国者の犯罪を描いた「省港旗兵」シリーズのプロデューサー、ジョニー・マック(麥當雄)が「愛と復讐の挽歌」2部作や『ファントム・ブライド』(いずれも87年)で組んだテイラー・ウォン(黃泰來)監督と再度組んで撮った"実録犯罪ドラマ"路線の到達点といえる1作です。
本作は"戦後香港10大事件"と呼ばれる犯罪のなかで1959年から61年にかけて発生した誘拐殺人事件(三狼案又は雙黃案と呼称)を題材にしています。全体の雰囲気は前述の「省港旗兵」シリーズ第1作『省港旗兵 九龍の獅子』(84年、テレビ放送)に近く、所謂エンタメ的な盛上げ要素は極力抑えられ"再現ドラマ"のようなセミドキュメントタッチの群像劇が展開されていきます。そのため派手な銃撃戦などはほぼ出て来ません。むしろ後半は死刑執行直前の犯人と家族とのやり取りがメインの所謂メロドラマ的流れに収束するため、過去取り上げた"香港ノワール"作品中では相当に異色ではあります。死刑執行までをご丁寧に描き、そこで本編が終わるため後味の悪さ、不快感は相当で好き嫌いは当然はっきり分れてくるでしょう。ただそこへ至るまでのクライム・サスペンス的な構成は非常に造り込まれており、無名の役者を起用した『省港旗兵 九龍の獅子』とは一転して、本作ではレオン・カーフェイ(梁家輝)やケント・チェン(鄭則士)、そしてキャリー・ン(吳家麗)といった実力派俳優たちが、当時の香港の底辺であえいでいた人々の苦渋や悲哀を深いリアリティで演じています。
本作で手応えを得たジョニー・マックは、「省港旗兵」シリーズを継続しつつ、本作のような過去の事件や大物にスポットを当てたよりドキュメント性の強い"実録映画"を90年代に手掛けていくことになります。

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