ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

こどもの教育コミュの2016年度学位授与式 告辞 (法政大学)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
素晴らしい講演ですね。
一部引用させていただきます。

"自由を生き抜く能力を身につけるために、現実に根ざした「実践知」というものが必要になります。「実践知」はギリシャ哲学で「フロネーシス」と言い、「深い思慮」を意味します。現実社会に根を張り、たとえ不都合な現実であってもそれに直面しながら、それぞれの立場で、理想に向かって課題を解決していく知恵であり知性です。私たちはしばしば、現実に押しつぶされそうになります。しかし自由を生き抜くとは、現実を無視して空想の世界に遊ぶことではありません。現実に妥協して自分の本心を封じ込めることでもありません。現実を観察し、よく知り、理解し、他者の自由を尊重しながら、まっすぐ前を向いて、自分の生き方で生きていくことです。

そのような能動的な生き方をするにはどうしたらいいのでしょう?アメリカの臨床心理学者ガイ・ウィンチという人の講演を、インターネット上で聞いたことがあるのですが、たいへん興味深い事例を話していました。

ウィンチさんは、ある保育所を訪ねたそうです。3人の子供が同じ道具で遊んでいました。それは箱の形をしていて、赤いボタンをスライドすると子犬のおもちゃが飛び出す仕組みでしたが、この子供たちはその方法を知りません。
ある女の子が、紫のボタンを引いたり押したりしていました。何も起こりません。後ずさりして箱を見ながら、下唇をふるわせました。
彼女の隣にいた男の子は、この様子を見て、自分の箱に触りもせずに泣き出しました。
しかしもうひとりの別の女の子は、思いつく限りのさまざまな操作をやり尽くして、とうとう赤いボタンをスライドし、子犬が飛び出しました。彼女は大喜びでした。

この話が印象に残ったのは、大学でも同じような光景を見てきたからです。設定されている目標に向き合ったとき、ちょっとやってみただけで「できない」とあきらめてしまう学生、やってみる前から「難しそうだ、面倒だ」と目をそむけてしまう学生、そして方法がわからなくても、さまざま試みて自ら方法を発見する学生です。

ウィンチさんはこれを、3人の能力の違いとは考えませんでした。みな、赤いボタンの操作を発見する能力はあったのですが、できなかった唯一の理由は、彼らの心が「できない」と信じこんだことだ、と結論しています。これを「無力感」と言い、自尊心の低さだと言っています。多くの研究から、自尊心が低いほどストレスや不安に弱く、失敗による傷も深くなり回復に時間がかかることがわかっているそうです。そして、身体の健康と同時に心の健康に気を配り、ネガティブな思考におそわれた時は、ほんの数分でも他のことに気持ちを集中してそらす、という応急処置をすすめています。それは現実を認めないという意味ではありません。現実を感情的にとらえるのではなく知性で理解する次元に置き直し、自尊心の問題も含め、自らの環境や社会の課題としてよく考える、ということなのです。社会と自分の関係を考える、その過程に「自由」があります。

いわゆるブラック企業だけでなく、大企業のなかでも心の健康を保てないことがあることを、長時間労働による自殺の事件で私たちは知っています。自分の心身の健康を保ちながら能力を発揮し、自由を生き抜くためには、上司や組織に従うだけでなく、自らの働き方を自ら編み出し主張することも重要なのです。「自由を生き抜く」という言葉を、どうか覚えておいてください。"

出典: http://www.hosei.ac.jp/gaiyo/socho/message/170324_1.html

コメント(2)

どういうところが、素晴らしいと感じたのですか?

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

こどもの教育 更新情報

こどもの教育のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。