ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

鵤工舎舎主 小川三夫コミュの古建築 小さな「本物」作り

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
11月22日(水)の日経新聞の「文化」トピに出ていた記事です。今回、私が小川氏を思い出すきっかけとなったので、アップしてみます。
ふっと、鵤工舎を思い出しました。
皆さんも何か感じるのではないかと思います。

◆ミニチュア制作、実物と同じ工法の手作り作業で再現◆

沖永 考一

 薬師寺や法隆寺、法輪寺など、飛鳥から奈良、平安初期の古建築には、平安中期以降の建築が失った質実剛健と力強い美しさがある。
それを自分の手で再現したいと、古建築のミニチュアを作り続けている。

▽ ▽ ▽

 部材、工具まで手作り

 図面引きから木造り、墨付け、刻み、組み立てと、すべて実物とほぼ同じ工法の手作業だ。
木曽檜を削り、1万から2万点の部材を1つ1つ削りだしていく。
刃渡り2,3センチの専用の鉋など、工具も多くは手作りする。
一人で朝から夕方まで作業するが、一基を完成させるのに2、3年はかかる。

 最初に作ったのが、薬師寺三重塔。
中学生のころだった。
福岡県苅田町の自宅2階に下宿していた仏壇職人の仕事をよく傍らで見ていて、影響を受けたのだろう。
器用で工作好きの子供だった。
小学生の時から、竹の皮の綿帯橋や、爪楊枝を使った金閣寺を作ったりしていた。

 そんな私にとって、美術の教科書で目にした薬師寺の姿は衝撃だった。
修復を終えた現在以上に、当時は質素さの中に荘厳さを感じさせ、天を支えるかのような屋根の反りに魅せられた。
国語辞典の巻末に三重塔の断面図を見つけ、25分の1のミニチュアを1年近くかけて完成した。
道具さえあればなんでも作れる。
完成した高さ1m近くの三重塔を前に、自信を持った。

 続いて石山寺多宝塔を作ったりした高校時代の後、北九州市の工務店に大工として弟子入りした。
3食付きで、大工の技能を習得できるのが有り難く、ほとんど唯一の現金収入である上棟式でのご祝儀もうれしかった。
当時は片耳が不自由で、人とあまり向き合わずに済む仕事がしたいという事情もあった。

▽ ▽ ▽

 薬師寺の修復に参加

 5年ほど勤めたころ、薬師寺管主、高田好胤さんの著書を読んだ。
薬師寺修復をしていると書いてあった。
いてもたってもいられなくなり、高田さんと、修復を請け負う鵤工舎の西岡常一棟梁宛てに、自分も修復に参加したい旨の手紙を出した。
熱意が伝わり、私は苅田港からフェリーに乗り、大阪を経て奈良へと向かった。

 薬師寺の近くに住み込み、10人ほどの先輩、同僚たちと薬師寺の修復作業に日々励んだ。
初めて目の当たりにする、三重塔のひっそりと静かにたたずむ姿。
その存在感に圧倒された。
建立当時はきらびやかな彩色が施されていたはずが、私は、この時見た素朴は姿こそ、古建築の最大の魅力と思っている。

 3年ほどで修復は終わり、九州に帰った。
その直前、先輩の宮大工が実家に立ち寄った際、中学のとき作った薬師寺三重塔のミニチュアを見てもらう機会があった。
そこから期せずして話が進み、私は鵤工舎からの正式な依頼で、ミニチュアを製作することになった。
まず作ったのは、法輪寺三重塔。
自分の仕事が認められたのがうれしく、夜を徹しての8ヶ月で完成させた。

▽ ▽ ▽

 自分のための1基を

 その後、自宅横に専用の作業場を設け、朝から夕方までミニチュア作りに励む日々が始まった。
作品の図面は、実物の修理報告書を基に引く。
部材も1つずつ設計する。
土台を作り、柱を建てる。
柱に沿って垂木や梁、桁を取り付ける。
屋根を載せてしまえば、見えなくなる部分だが、実物と同じ工法でないと、完成させた瞬間の心の震えるような喜びは味わえない。

 工具は実物用だと大きすぎるので、小さな鉋や鑿を彫刻刀などから作った。
パソコンに全く興味はなかったが、CAD(コンピューターによる設計)の便利さを知ってからは、独力で使い方を習得した。

 57歳の今に至るまで、社寺向けの厨子や机を作るなどの業務をこなしつつ、法隆寺五重塔、醍醐寺五重塔、法隆寺金堂などを作った。
時間がかかるため、これまで完成させた作品は10作に満たない。
作品は博物館や建設会社などに飾られている。

 3年前、鵤工舎を退社した。
これまでは注文を受けて作品を作ってきたが、視力も落ち、体も無理がきかなくなってきて、今のうちに自分のためだけに1基、本気で制作してみたくなったのだ。
目下作っているのは、自分の原点といえる薬師寺三重塔。
完成まであと1年はかかる。
それが終わったらどうするか、今は目の前の薬師寺のことで頭がいっぱいで何も考えられない。

(おきなが・こういち=宮大工)

★写真 1★
筆者が作った「法隆寺五重塔」 高さ約1.2m

★写真 2★
著者 沖永 考一 氏


鵤工舎の存在価値の一面を見た記事でした。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

鵤工舎舎主 小川三夫 更新情報

鵤工舎舎主 小川三夫のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング