なかでも「アメリカの鱒釣りちんちくりん」というのがおもしろい。『語源はどんなだろう?』とおもって調べてみたら、それは「Trout Fishing in America Shorty」であった。このShortyを単に“小さい”ではなく「ちんちくりん」と訳したところに“おんな”がいる、“藤本和子”がいるっておもえる。この訳者がもし男ならこうはならなかったかもしれない。
しかし、リチャード・ブローティガンがなぜ「アメリカの鱒釣りちんちくりん」(Trout Fishing in America Shorty)としたかはわからない。 例えばこの「Shorty」をundersizedとかdwarfishとしてもいいのではないか。とりわけ“いじけた”という感触がある「dwarfish」の方がいいかもしれない、いやまてよ、リチャード・ブローティガンはもしかしてShortyにその雰囲気を込めているのではないか。しかしまあ、“おんな”である藤本和子のこの「ちんちくりん」と訳したのには畏れ入るし、同時に吹き出してしまった。