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公正で持続可能な社会コミュのすべての人間は、人間である(ノルウェーの刑罰法)

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すべての人間は、人間である(ノルウェーの刑罰法)

 今夜、NHK−BSの「未来への提言」で、ノルウェーのオスロ大学の法学者で、刑事政策研究院教授の、ニルス・クリスティ氏を取り上げた番組を見た。
 日本に裁判員制度が始まって数ヶ月、注目を浴びる仕組みですが、ノルウェーでは100年以上前から、市民が裁判に参画しているという。その番組の中で、世界の人口当たり犯罪者の比率が紹介された。

ノルウェー    1/1800人 
日本       1/1300人 
イギリス     1/600人  
アメリカ・ロシア 1/100人 

この数字を政治経済からみると、
福祉の国家  ノルウェー
市場経済国家 アメリカ 
のように見てしまいますが、実は1960年代、経済の混乱もあり、ノルウェーも一時期少年犯罪・凶悪犯罪がが増え、法の厳罰化が進んだそうです。

 しかし厳罰化の結果は、劣悪な刑務所環境を作り、厳しい服役生活し強いても、刑期を終え出獄しても、社会に馴染めず再犯は後を絶たなかったと分析。1970年代後半、「犯罪を犯すのは、その環境や教育の低さ、格差等に起因している」と調査結果をまとめ、この再犯の循環を解消するためには、刑務所での教育の充実・社会復帰の工夫、さらに戻る地域との連携にあるとして、刑務所の環境を一変させる方針を国家が決め、国民に何度も何度も理解を求めた。生活の安定にために、刑務所内の福祉を充実させて行った。

 これを裏付ける研究し続けた法学者がニルス・クリスティ氏です。クリスティ氏は、世界の刑務所を見て回り、その受刑者たちに色々聞いて回ったそうです。また、その受刑者を管理する各国の刑務官にも話を聞きました。なぜそんなことをしたか、その原体験は、ナチスドイツのノルウェー侵攻時に、他国からつれてきた捕虜の扱いを研究しての気付きにありました。

 捕虜を酷い死へ追いやった刑務官は、捕虜を自分と同じ人間と見ていなかった。捕虜をどうにか助けようと思った刑務官は、捕虜の以前の生活や家族の状況を聞き、一人の人間として見ていた。この差が、刑務官たちの後の行動を分けたそうです。
 大学時代にのそのことを修士論文に書いたのですが、ぼう大な論文の締めの言葉は、「すべての人間は人間である」とありました。

 アメリカ、イギリスなどの先進国は、犯罪を重ねる犯人は、特殊な人間として刑を重くして隔離の方向が主流になりつつありますが、実際、犯罪を犯す人々の多くが、厳しい生活環境が原因だったり、教育機会が無かったり、移民だったりと、底辺の生活を余儀なくされた人々が多いように思います。

 この生活環境を改善すれば、多くの犯罪者が再犯をしないという研究結果を集め、1980年以降、ノルウェーでは、刑は「社会復帰」のためを終始し、その予防策+支援の輪を地域が担う仕組みを充実させて来たと言います。
 その結果が、人口450万人で、(殺意を持った)殺人事件は年間1件だけ(ノルウェー紀行:森達也)と報告があった。

 厳罰にして、きびしい規律と風紀の中で、心身を鍛えても、刑を終え社会に出ても社会復帰がなかなか出来ない、地域が受け入れない。これを、ニルスクリスティ氏は、中央集権の弊害と指摘しました。小さな犯罪ほど、地域(市民)に関わらせる事で、未然に防ぐ環境を整える(犯罪者の就職先、服役中家族の支援と融和、等)犯罪を生まない社会は、地方分権、地域主権が良いと教示されました。

 1990年代から、日本も厳罰化が進む国民意識と、アメリカの市場原理主義(グローバルスタンダート)で、所得格差が広がり、比例するように犯罪が増えている(15年で、170%)と言います。さらに、小泉改革が規制緩和で、その格差を広げ犯罪も凶暴化していったように思います。
 一方的にノルウェーの制度が良いとは言えませんが、狭くなった地球、デフレ経済の日本、強い者たちをまず伸ばし、次に低所得者の福祉では、益々格差が広がり、社会を不安に落としいれます。

 まず政治は、底辺の庶民の生活の安定と教育の充実が先にあって、国民が富み、地域が豊かになり、国家が繁栄するものでなけれな、長続きしないと思います。ノルウェーで100年前に始まった裁判員制度が、日本を安心・安全な地域社会構築につながることを願っています。
 国民が、裁判に恐れず、犯人も一人間として見て、更生への道を導けるような判決であり、刑務所であって欲しいと願います。


<参考資料>森達也は、ニルスクリスティ氏の対談相手

■ ■ 森達也 リアル共同幻想論 ■ ■
http://diamond.jp/series/mori/10027/?page=2

>殺人事件は年間1件だけ!?ノルウェー紀行

>アメリカほどではないにしても、日本も確実に厳罰化の道を歩んでいる。この20年で受刑者の総数は、ほぼ2倍に増加した。つまりオウム以降だ。死刑判決や執行数も急増している。

>世界的なこの傾向とまったく逆の方向に進んでいるのが北欧だ。つまり厳罰化ではなく寛容化政策。特にノルウエーにおいては、ニルス・クリスティの存在は大きい。彼の主張を採用する形でさまざまな刑事司法改革が行われ、そしてその帰結として、治安は劇的に良くなっているという。

殺意ありきの殺人事件は年間1件あるかないか
「殺人事件は年間にどのくらい起きていますか?」

 僕のこの質問に、現地コーディネーターで長く北欧に暮らしてきた奈良伊久子さんは、少しだけ首をひねりながらこう答えた。

「年間ですか? ほとんどないですよ。あるとしても1件くらい」

数秒の間を置いてから僕は言った。

「……まさか」

「たぶんそのくらいです。後でちゃんと調べます」

 後日に判明した正式なデータによれば、ノルウエー国内の年間の殺人事件は、総数で30件弱。ただしそのほとんどは過失致死で、殺意ありきの殺人事件(つまり故殺)は、やはり年間に1件あるかないかだった。

 もちろん日本とノルウエーとでは分母が違う。ノルウエーの人口は約400万人だ。国土面積がほぼ等しい日本のおよそ30分の1。でも人口比で比較しても年間1件は、やはり驚異的な治安の良さだ。

 ただし日本も、厳罰化を進める先進諸国の中では、例外的といえるほどに殺人事件が少ない国だ。人口比率では、実のところノルウェーと大差ない。ところがこの国では近年の傾向としては、体感治安だけが突出して悪くなり、厳罰化が進行している。まあこれについては、この連載で以前にも書いた。今回はノルウエーの話だ。
  (以上、森達也「リアル共同幻想論」転載)


<コミュ>
「ニルス・クリスティ」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=4580180

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