ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

ポール・ドハティーコミュの「毒杯の囀り」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「毒杯の囀り」の感想用に立ててみました。
以下、4年前の管理人の感想です。

ドハティーが別名義で放つ修道士アセルスタンのシリーズ第1作。結論から言うと、これこそが噂に聞いていたカーの後継者としてのドハティーの神髄か、と唸った。「密室で毒殺されていた男。その部屋に通じる廊下は<鳴く>細工が施されており、誰も近づけない」という謎を柱に、宝捜し趣味を盛り込み、秘密結社の影をちらつかせ、飛びっきりのオモシロ読み物に仕上げた作者のエンタテイナーとしての才能に感服。探偵役の二人、修道士アセルスタンと検視官クランストンのコンビがこれまた好対照で楽しい。いやあ、よく出来てます。ヒュー・コーベットがエドワード1世の密偵として13世紀終盤から14世紀初頭に活躍したのに対し、ベネディクト派修道士アセルスタンは、エドワード3世が亡くなりその孫にあたるリチャード2世が即位した14世紀終盤に登場。こんな話。

1377年、賢王と言われたエドワード3世が色に狂って晩節を汚し、その息子エドワード黒太子の後を追うようにこの世を去る。王位に就いたエドワード黒太子の息子リチャードは、即位当時僅か10歳の少年。幼王を後見するのは、エドワード黒太子の弟であり王の叔父に当たるジョン・オブ・ガーント(ランカスター公)。フランスとは果てしなき百年戦争でイングランドの国力が疲弊の極みにあった頃、アンセルタン最初の事件は起きた。季節は春、処は倫敦。王家の信任厚かった銀行家トマス・スプリンガル卿が豪奢な自宅の寝室で毒殺される。そして、その犯人と目された召使ブランプトンは、首を吊って自殺。だが、この開幕即終結した筈の事件には、不自然な点があった。現場の検死を行った国王の検死官ジョン・クラストン卿と彼の補佐を務める修道士アセルスタンはブランプトンの「自殺」と、その翌日ロンドン橋で首を縊ったスプリンガルの使用人ヴェッキイの「自殺」に、小さな矛盾を発見し、二つの「自殺」が殺人であったことに気づく。それは、とりもなおさず、スプリンガル卿の毒殺も、見かけ通りの単純な事件ではない事を示す。だが、現場は内側から鍵の掛かった完全な密室。毒物が検出されたワインをブランプトンが持って上がって以降、一夜明けて死体の発見に至るまで誰も卿の部屋に近づいたものはいなかった。というのも、寝室に続く「小夜鳴鳥の柱廊(ナイチンゲール・ギャラリー)」は、人が歩けばキイキイと鳴く仕掛けが施されており、眠りの浅い卿の母アーメンギルドは、その夜、何の物音も聞かなかったというのだ。果して、スプリンガル卿の死を望む者は誰か?彼の妻イザベル、弟リチャード、チェスの友人クリスピン師、アリンガムにバッキンガムといった使用人たち。やがてアセルスタン達の探索は、なぞなぞ好きの故スプリンガル卿が遺した「靴屋が真実を知る」という言葉に行き当たる。それは彼の立身の鍵の在処を示しているのか?巨大な邸宅を覆う秘密結社「探究の息子たち」の影。そして新たなる密室での毒死。聖体祝日(コーパス・クリスティ)の祭の準備が整う中、聖書が指し示した解決とは?探索と陰謀の物語は幼王の御前でチェックメイトを迎える。

主人公の修道士アセルスタンは、富裕な農家の出であったが、兄ともどもエドワード黒太子のフランス遠征に参加。そこで一家の跡取りたる兄を戦死させてしまい、両親は失意のうちにこの世を去る。そしてアセルスタンは戦争にロマンを感じていた自分を許せぬまま僧職の入り、自らを罰するように貧しい教区での務めに精を出す。今は、猫のボナベンチャーと二人暮らし。教会の関係者から愛されて、そして、彼自身は教区の娘ベネディクタに仄かな恋心を抱いている。
一方の検死官クランストン卿は、巨躯を鯨飲馬食で支える陽気な男。賢夫人のモードとの間に生まれた息子を数年前にペストで失い、のみ潰れると愚痴をこぼす。事件現場でも酒をかかさず、どこででも寝てしまうという豪放磊落ぶりである。
このデコボココンビのキャラが実に立っており、それだけでも充分に面白い。そして、そこにもってきて不可能趣味がマニア心をくすぐる。種明かしされてしまえば、なあんだ、ものではあるが、無理なくプロットに当てはめた手際は賞賛されてよかろう。更に、時代設定を隅々まで活かした「動機」が、これまた嬉しい。解明に至るまで、ミスディレクションたっぷりの宝捜しもあって、とにかく読者を飽きさせない。名シリーズの開幕を飾るに相応しい力作と断言してしまおう。

因みに、私の読んだ米初版は、折り返しの梗概でとんでもない年代の誤りをしでかしている。何故か事件が1336年に起きた事になっているのだ。一体どこをどう読めば、こんな数字が出てくるのか、謎なのであった。

コメント(1)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

ポール・ドハティー 更新情報

ポール・ドハティーのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング