誕生の背景 1930年代後半、当時アメリカでアニメーション、正しく言うならカートゥーンの分野では、ウォルト・ディズニー・カンパニーが人気面で先頭を走っており、これに目を付けた他の映画会社が負けじと、カートゥーンを手掛けることとなった。MGMも例外ではなく、新しいカートゥーンを創るべく、先述のウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラの2人のアニメーターに製作を依頼。こうして誕生したのが「トムとジェリー (TOM and JERRY)」であった。
だが当初、この猫と鼠の追い掛けっこをモチーフにしたカートゥーンは、現場サイドでの評判は決して良くなかったと言われている。そういった背景の中、1940年に第1作目「上には上がある (Puss Gets the Boot) 」をアメリカで公開。ただしこの作品が初めて公開された当時、"TOM and JERRY"というタイトルは付けられておらず、トムは別名の「ジャスパー (Jasper)」、ジェリーに至ってはまったく名前が付けられていなかった。製作も、お馴染みのハンナ=バーベラの2人の連名ではなく、ルドルフ・アイジング (Rudolf Ising) という、全く別の製作者の名前が冒頭で公開されていた。このあたりに、当初置かれていた「トムとジェリー」の立場というものが窺い知れる。
Tom ドタバタコンビの一方。猫。正しくは"Thomas Cat (トーマス・キャット)"。色はグレーまたは水色。ジェリーをいじめることが好きだが、実はジェリーがいないととても寂しがるセンチメンタルな面も持ち合わせている。また、ジェリーとの共通の敵が表れると、共同作戦をすることもある。製作時期により顔の形、色が若干異なる。また、雌猫(トゥードル)に対して、非常に惚れっぽい一面も持っており、親友でもある野良猫のブッチとは恋の鞘当てを演じることもある。ちなみに両利きである。
Jerry ドタバタコンビの一方。鼠。正しくは"Jerry Mouse (ジェリー・マウス)"。色は茶色。劇中、ハツカネズミに間違われることもある。トムに悪戯をすることが好きだが、トム同様、実はトムがいないととても寂しがるセンチメンタルな面も持ち合わせている。このため、トムが家から追い出されるとトムが家に戻れるように画策することもある。従兄弟のニブルスをトムがいじめたとき、脅威的な力を発揮することもある。両利き。
Puss Gets the Boot(上には上がある、1940年2月10日) The Midnight Snack(夜中のつまみ食い、1941年7月19日) The Night Before Christmas(メリー・クリスマス、1941年12月6日) Fraidy Cat(お化け騒動、1942年1月17日) Dog Trouble(共同作戦、1942年4月18日) Puss 'n' Toots(バラ色の人生、1942年5月30日) The Bowling-Alley Cat(楽しいボーリング、1942年7月17日) Fine Featherd Friend(にわとり婆さん、1942年10月10日) Sufferin' Cats(悪魔のささやき、1943年1月16日) The Lonesome Mouse(淋しがりや、1943年5月22日) The Yankee Doodle Mouse(勝利は我に、1943年6月26日) Baby Puss(赤ちゃんはいいな、1943年12月25日) The Zoot Cat(素敵なおさがり、1944年2月26日) The Million Dollar Cat(夢と消えた百万ドル、1944年5月6日) The Bodyguard(命の恩人、1944年7月22日) Puttin' On the Dog(猫はやっぱり猫でした、1944年10月28日) Mouse Trouble(ネズミ取り必勝法、1944年11月23日) The Mouse Comes to Dinner(トムのガールフレンド、1945年5月2日) Mouse in Manhattan(ジェリー街へ行く、1945年7月7日) Tee For Two(目茶苦茶ゴルフ、1945年7月21日) Flirty Birdy(可愛い花嫁さん、1945年9月22日) Quiet Please(ただいまお昼寝中、1945年12月22日) Springtime for Thomas(春はいたずらもの、1946年3月30日) The Milky Waif(捨てネズミ、1946年5月18日) Trap Happy(仲間割れ、1946年6月29日) Solid Serenade(恋ははかなく、1946年9月1日) Cat Fishin'(変な魚釣り、1947年2月22日) Part Time Pal(トラになったトム、1947年3月15日) The Cat Concerto(ピアノ・コンサート、1947年4月26日) Dr.Jekyll and Mr.Mouse(あべこべ物語、1947年6月14日) Salt Water Tabby(海のバカンス、1947年7月12日) A Mouse in the House(こわいお手伝いさん、1947年8月30日) The Invisible Mouse(透明ネズミ、1947年9月27日) Kitty Foiled(なかよし、1948年6月1日) The Truce Hurts(仲良し同盟、1948年7月17日) Old Rockin' Chair Tom(強敵あらわる、1948年9月18日) Professor Tom(やんちゃな生徒、1948年10月30日) Mouse Cleaning(お掃除はこうするの、1948年12月11日) Polka Dot Puss(ウソをついたら、1949年2月26日) The Little Orphan(台所戦争、1949年4月30日) Hatch Up Your Troubles(いたずらきつつき、1949年5月14日) ※後にリメイクされる。 Heavenly Puss(天国と地獄、1949年7月9日) The Cat and The Mermouse(海の底はすばらしい、1949年9月3日) Love That Pup(ここまでおいで、1949年10月1日) Jerry's Diary(ジェリーの日記、1949年10月22日) Tennis Chumps(テニスなんて楽だね、1949年12月10日) Little Quacker(母をたずねて、1950年1月7日) Saturday Evening Puss(土曜の夜は、1950年1月14日) ※アメリカTV放送時には「お手伝いさん」が白人女性に描き直されている。 尚、どのタイミングで変更されたのかは不明。日本で再放送をしている間は 足や手しか見えない黒人女性である。他の作品でも黒人女性は登場いるが、書き換えられているのはこの作品のみである。 (1950年劇場公開時は黒人女性と思われる) Texas Tom(西部の伊達ねずみ、1950年3月11日) Jerry and the Lion(逃げて来たライオン、1950年4月8日) Safety Second(花火はすごいぞ、1950年7月1日) Tom and Jerry in the Hollywood Bowl(星空の音楽会、1950年9月17日) The Framed Cat(復讐もほどほどに、1950年10月21日) Cue Ball Cat(玉つきゲームは楽しいね、1950年11月25日) Casanova Cat(計算ちがい、1951年1月6日) Jerry and the Goldfish(ジェリーと金魚、1951年3月3日) Jerry's Cousin(ごきげんないとこ、1951年4月7日) Sleepy-Time Tom(トムさんと悪友、1951年5月26日) His Mouse Friday(南の島、1951年7月7日) ※当初、日本語タイトルは「南の島には土人がいたよ」だったが、放送禁止用語に抵触したために現在のタイトルになった。 Slicked-up Pup(パパは強いな、1951年9月8日) Nit-witty Kitty(ショックで直せ、1951年10月6日) Cat Napping(ふんだりけったり、1951年12月8日) The Flying Cat(トム君空を飛ぶ、1952年1月12日) The Duck Doctor(おしゃべり子ガモ、1952年2月16日) The Two Mouseketeers(パーティ荒し、1952年3月15日) Smitten Kitten(恋のとりこ、1952年4月12日) Triplet Trouble(可愛い子猫と思ったら、1952年4月19日) Little Runaway(可愛い逃亡者、1952年6月14日) Fit to be Tied(ブルおじさん、1952年7月26日) Push-Button Kitty(人造ネコ、1952年9月6日) Cruise Cat(夢と消えたバカンス、1952年10月18日) The Dog House(お家はバラバラ、1952年11月29日) The Missing Mouse(恐怖の白ネズミ、1953年1月10日) Jerry and Jumbo(ジェリーとジャンボ、1953年2月21日) Johann Mouse(ワルツの王様、1953年3月21日) That's My Pup(パパの教育、1953年4月21日) Just Ducky(おかしなアヒルの子、1953年9月5日) Two Little Indians(インディアンごっこ、1953年10月17日) Life with Tom(トム氏の優雅な生活、1953年11月21日) Puppy Tale(親切なトム、1954年1月23日) Posse Cat(うらぎり者は去れ、1954年1月30日) Hic-cup Pup(止まらないシャックリ、1954年4月17日) Little School Mouse(ネズミの学校、1954年5月29日) Baby Butch(腹ぺこブッチ、1954年8月5日) Mice Follies(氷あそび、1954年9月4日) Neapolitan Mouse(ナポリよいとこ、1954年10月2日) Downhearted Duckling(オーバーな奴、1954年11月13日) Pet Peeve(いそうろう、1954年11月20日) Touche, Pussy Cat!(武士道はつらい、1954年12月18日) ※劇場公開時:剣豪ジェリー Southbound Duckling(南へ行こう、1955年3月12日) Pup on a Picnic(ブルさんのピクニック、1955年4月30日) ※劇場公開時:わんちゃんのピクニック Mouse for Sale(白ネズミは人気者、1955年5月21日) Designs on Jerry(失敗は成功のもと、1955年9月2日) Tom and Cherie(武士道修行も楽じゃない、1955年9月9日) ※劇場公開時:ジェリーの迷剣士 Smarty Cat(映画大会、1955年10月14日) Pecos Pest(ひげも使いよう、1955年11月11日) That's My Mammy(素敵なママ、1955年11月19日) The Flying Sorceress(空飛ぶほうき、1956年1月27日) The Egg and Jerry(1956年3月23日) ※"Hatch Up Your Troubles(いたずらきつつき)"のリメイク版。日本では未公開。 Busy Buddies(赤ちゃんは楽だね、1956年5月4日) Mustle Beach Tom(楽しい浜べ、1956年9月7日) Downbeat Bear(ダンスは楽し、1956年10月21日) Blue Cat Blues(悲しい悲しい物語、1956年11月16日) Barbecue Brawl(バーベキュー戦争、1956年12月14日) Tops with Pops(1957年2月22日) ※"Love That Pup(ここまでおいで)"をシネマスコープ版でリメイクしたもの。日本では未公開。 Timid Tabby(なにがなんだかわからない、1957年4月19日) Feedin' the Kiddie(1957年6月7日) ※"The Little Orphan(台所戦争)"をシネマスコープ版でリメイクしたもの。日本では未公開。 Mucho Mouse(気楽に行こうよ、1957年9月6日) Tom's Photo Finish(みーちゃったみーちゃった、1957年11月1日) Happy Go Ducky(おめでたいアヒル、1958年1月3日) Royal Cat Nap(王様を起こさないで、1958年3月7日) The Vanishing Duck(忍法ネコだまし、1958年5月2日) Robin Hoodwinked(我こそ勇者、1958年6月6日) Tot Watchers (赤ちゃんは知らん顔 1958年8月1日) tarkar in enter(いたずら魚釣り、1988年11月9日)
ジーン・ダイッチ期(1961年〜1962年) Switchin' Kitten(猫はワンワン犬はニャーオ、1961年9月7日) Down and Outing(友達はいいな、1961年10月26日) It's Greek to Me-ow(ギリシャ物語、1961年12月7日) High Steaks(自慢のバーベキュー、1962年1月1日) Mouse into Space(ジェリーの宇宙飛行士、1962年2月1日) Landing Stripling(手ごわい奴、1962年4月1日) Calypso Cat(やきもちやき、1962年6月1日) Dicky Moe(白いくじら、1962年7月1日) The Tom and Jerry Cartoon Kit(お人形新発売、1962年8月1日) Tall in the Trap(西部のあばれもの、1962年9月1日) Sorry Safari(狩りはこりごり、1962年10月1日) Buddies Thicker Than Water(くたびれもうけの魚釣り、1962年11月1日) Carmen Get It!(新カルメン物語、1962年12月1日)
チャック・ジョーンズ期(1963年〜1967年) Penthouse Mouse(お好みサンド、1963年) The Cat Above and The Mouse Below(オペラ騒動、1964年) Is There a Doctor in the Mouse?(ジェリー博士の超能力、1964年) Much Ado About Mousing(ジェリーの親友、1964年) Snowbody Loves Me(冬の夜ばなし、1964年) The Unshrinkable Jerry Mouse(ジェリーと子猫、1964年) Ah Sweet Mouse-Story of Life(追いつ追われつ、1965年) Tom-ic Energy(逃げろや逃げろ、1965年) Bad Day At Cat Rock(まるでツイてない日、1965年) The Brothers Carry-Mouse-Off(とんだ災難、1965年) Haunted Mouse(魔術師ネズミ、1965年) I'm Just Wild about Jerry(油断大敵、1965年) Of Feline Bondage(ジェリーの仕返し、1965年) The Year of the Mouse(ジェリーのいたずら作戦、1965年) The Cat's Me-Ouch(忠犬ブル公、1965年) Duel Personality(果てしなき決闘、1966年) Jerry, Jerry Quite Contrary(ジェリーの夢遊病、1966年) Jerry Go-Round(象さんはジェリーの味方、1966年) Love Me, Love My Mouse(プレゼント騒動、1966年) Puss 'N' Boats(水兵さんも楽じゃない、1966年) Filet Meow(カワイコ金魚ちゃん、1966年) Matinee Mouse(仲直りはしたものの、1966年) The A-Tom-Inable Snowman(銀世界の追跡、1966年) Catty Cornered(1+1は敵の数、1966年) Cat and Dupli-Cat(サンタルチアの夜、1966年) O-Solar-Meow(トムとジェリーウォーズ、1966年) Guided Mouse-Ille(未来戦争、1966年) Rock 'N' Rodent(ロックンロール騒動、1967年) Cannery Rodent(ジョーズの追跡、1967年) The Mouse from H.U.N.G.E.R.(001/7 チーズに愛をこめて、1967年) Surf-Bored Cat(サーフィンに挑戦、1967年) Shutter Bugged Cat(必殺ネズミ取り、1967年) Advance and Be Mechanized(アベコベ時代、1967年) Purr-Chance to Dream(夢よもう一度、1967年)
ハンナ=バーベラ第2期(1975年) 「The New Tom & Jerry Show」というタイトルでテレビシリーズとして製作。
新トムとジェリー 1970年代、日曜日の19:30 - 20:00に日本教育テレビ(テレビ朝日)系で放映。「The New Tom and Jerry Show」を日本で放映したもの。主題歌はアメリカ版のものを使用している。トムとジェリーの台詞なし。TBS版「トムとジェリー」の印象が強烈な一部の視聴者からは違和感が大きいという声もあった。