華麗なる妄想恋愛主義の世界コミュの肉体恋愛至上主義者の妄見を斥す

【肉体恋愛主義者】：
「恋愛者は、肉体の結びつきを介して、至高の悦楽に達する」ということが認められないというなら、認められないでよい。

しかし、
恋愛者は、その恋愛に対応している事実が現に存在することによって、幸福である。
よって、
妄想者には、その恋愛に対応する事実が現に存在しないから、妄想者は不幸である。故に、妄想は、異性のおぼえめでたからざる男女の避難場所…と。

【妄想恋愛主義者】：
幼稚なる者どもの妄言は尽きる事がないことよ。

汝らに、確かめておく。
恋愛者は、その恋愛に対応する事実が現に存在するから、幸福なのか？それとも、その恋愛者自身の心のみによって、幸福なのか？

【肉体恋愛主義者】：
既に、「恋愛者は、その恋愛に対応している事実が現に存在することによって、幸福である」と述べたではないか。

【妄想恋愛主義者】：
汝らの言う「恋愛に対応している事実」とは、何であろうか。

仮に汝らが言うことが正しいとすれば、
結婚詐欺に泣く男はどのように説明されるのか。

ある男はある女と恋に落ち、相思相愛と思いて、この世の春を謳歌せしも、一夜にして、詐欺の事実によって、塗炭の苦しみを味わうこととなった。

ある時期、この男は、確かに、幸福であった。
しかし、それは「恋愛に対応している事実」によってではない。なぜなら、その女は初めからその男を好くどころか、欺く気であったのだから。

また、仮に汝らの言うことが正しいとすれば、
愛を誓いあったアベックの片方が先に心冷める事実は、どのように説明されるのか。

ある男女は、愛を誓った。
しかし、ある時、男が別れを切り出した。女は、突然の出来事に落胆した。

この女は、確かに別れを切り出されるまで幸福であった。
しかし、それは「恋愛に対応している事実」によってではない。なぜなら、男の方が先に冷めたのであって、両者が同時に冷めたのではないからである。

故に、汝らが理由として引き出した「恋愛に対応している事実」は、蜃気楼の楼閣のごとし。

これをもってこれを見れば、正に、
恋愛者は、その恋愛者自身の心のみによって、幸福を感じるということが明らかとなる。
すなわち、
恋愛者は、その恋愛者が抱える妄想のみによって、幸福を感じるとことだけが真実なのである。