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2021年01月17日03:01

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プロDD・M 〜その104

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 消し炭の魔女、彼女は誰にも屈さず、どこにも属さず、長らく彼女をときめかせるような相手などいなかった。
 それが、出会ってしまった。コンカファーズギルドで、燃やしても燃やしても死なない男に。
 不幸な決着のはずだったが、彼女は、その男の存在を感じていた。
 必ず生きている。その予感は日に日に強くなっていった。
「見つけた……」
 反応が強くなった。
 消し炭の魔女は、にやりと笑い、挨拶代わりの魔法を放った。
 建物も全て消し飛び、周囲が焼け野原と化した。
 そこに残った男を見て、消し炭の魔女は珍しく興奮を抑えきれなかった。
「会いたかったよ…アッキー」
 全てが死んだ大地で、男は死の香りをさせて立っていた。
「熱烈なラブコールじゃないか、消し炭の魔女、久しぶりだね」
「さぁ、踊りましょう」
 消し炭の魔女がステップを踏むと、周囲に炎の柱が吹き出した。
「ちょっと今、仕事中なんだけどなぁ」
 アッキーは、逃げ道がないことを見て呟いた。


「ジュン殿、お覚悟!!いや〜、これ言ってみたかったんだだよね!」
 スミオがいつもの調子で、ジュンの乗った籠を開けた。
「うおっ!」
 その瞬間、ジュンが勢いよく飛びつき、スミオは押し倒された。
「スミオ!」
 俺は叫んだが、その時、すでに、スミオの喉笛は食いちぎられようとしていた。
 これが、武士のあがき!
「こんの〜!!往生せいや!」
 スミオが必死に体を入れ替え、2人は転がりながら、坂を下っていった。
「マルス、追いかけよう!確実にとどめを刺すんだ!」
 トランゴが俺に声をかける。俺は無言で頷くと、スミオを追って走り出した。
 途中で、兵を斬り分けながら、スミオの元にたどり着いた。
「お前ら…カリスマのところの奴だな…小癪な」
「これが鮫地方の領主のオーラ…」
 見ると、スミオが倒れたままになっている。
 あの頑強なスミオの首を噛みちぎるなんて…。
「……安心しろ、マルス。あの程度なら、スミオはすぐに修復可能だ。それより、今は目の前の敵に集中しろ」
 言われなくてもわかっている。こいつは、1人でも戦況を覆せるほどの実力を持っている。
 それに早く仕留めないと、敵の兵達が落ち着きを取り戻すと厄介だ。
「オラアアア!!」
 ジュンが間合いを詰めて、襲いかかってきた。
 俺はうまくカウンターで合わせようとするが、相手も強く、壮絶な打ち合いとなってしまった。
「マルス!!」
 トランゴが何かをこちらに投げた。
 無我夢中でそれを掴む。
「こ、これは……ハイパーDDサーベルじゃねぇか!!」
「……それは、スミオ用に開発した兵器。だが、DDのお前なら使いこなせるはずだ!」
「DD…?俺は……DDなのか……?……よし!やってみる!!」
 俺はこの武器を思い切り振り切った。
「ぐああああ!」
 凄い!ジュンの武器ごと切り飛ばし、ダメージを与えることに成功した。
「このまま押し切る!」
「させるかよ!」
「ぐっ!」
 ジュンの蹴りが俺の手を打ち、武器を落とさせる。そのまま吹っ飛ばされた俺は地面を転がった。
「そろそろくたばらんかい」
 今のダメージで立てない……。くそ!トランゴは!?
 気づいたら、トランゴは他の兵と戦っている。まずい、こちらに気づいていないのか?
 やられる……そう思った時、すぐ横で寝ているスミオが目に入った。
「これだ…」
「さぁ、どんな死に方を所望かな」
「はは、俺はそんなの選ばせてやらねぇよ!」
 俺は、スミオに搭載されていたメガハイ粒子砲を発射させた。
「な、なにぃーーーーー!!く、この俺が、こんなところでーーーー!」
「………勝った。勝ったぞーーー!」
 俺は勝ち名乗りをあげた。周囲にそれが伝播し、戦いが終わっていく。

「よくやったな、マルス」
 カリスマ様から労われている時、俺は何かを思い出したが気がした。
 俺は……この男を知っている気がする。
 それは記憶の手がかりになるのかもしれない。


 撤退するコムギは、カリスマとの初めての出会いを思い出していた。
 あれは……鮫地方の領主が集められた国王の城での出来事だった。
 エリート領主だった僕は、ツバサや他の領主と雑談しながら、会議場へ入っていくところだった。
 そこで当時、無名だったカリスマを初めて見た。
 思わず放った一言、それが奴との因縁の始まりだった。
「カリスマ……?」
 その名を聞いた時、エリートである僕は口説ける女でもいるのかと思い、そちらを見た。だが、姿を見てがっかりして呟いた。
「なんだ、男か」
 しかし、次の瞬間、僕は顎にクリーンヒットをもらい、吹っ飛ばされていた。
「カリスマが男の名前で何が悪いんだ!僕は男だよ!」
 頭に血が上った僕は、ツバサ達にカリスマを押さえ込ませた。
「なら、男らしく扱ってやるよ!」
 僕は、カリスマの顔面に蹴りを加えると、勝ち誇りながら、会議場へと入っていった。

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