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2020年11月03日00:27

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「シカゴ7裁判」 ベトナム反戦のスリリングな裁判劇

ベトナム戦争のニュースは、しっかりと記憶にある。
ナパーム弾の攻撃を受けて、裸で泣きながら村人と逃げる
少女の写真(ニック・ウト撮影)は忘れられない。

アメリカ人の友人は「アメフトの膝の怪我で、兵役を免れた」と、
心底ホッとしていた。彼にとってはリアルだったのだ。

日本ではべ平連が活動し、私も戦争反対の署名もした。
けれど、こういう裁判があったことは、まったく知らなかった。

監督のアーロン・ソーキンは、「ア・フュー・グッドメン」だけ観ていた。
これは脚本。軍事法廷で、これも面白かった。

「シカゴ7裁判」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=5031907

https://chicago7-movie.com/

1968年8月、シカゴの民主党大会。ベトナム戦争反対のグループが集結。
反戦活動家のトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)や、
イッピーのアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)、
第二次大戦中の良心的兵役拒否者デビッド・デリンジャーや、
非暴力平和活動家のレニー・デイビス等、主張や表明の手段も違う。

それぞれ平和的デモのはずだったが、群集ともなれば統率は難しい。
警官隊や州兵の威嚇に対し、雪崩を打って突っ込んでいき、
催涙弾や警棒、銃さえも使用されて、流血の大惨事に。

11月にはジョンソン政権が終わり、ニクソン大統領となる。
司法長官も交代。新長官ミッチェルは検事を呼びつけ、
暴動で逮捕された8人を起訴し、有罪にと命じる。

シュルツ検事(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、
「この訴訟は無理だ」と反論するが、命じられてしまう。
そして8人の裁判が始まる。裁判官はホフマン。

いやはやこの裁判に絶句する。裁判官自身の偏見があからさま。
平和主義と思われる裁判員は、脅された挙句に差し替え。
被告どころか弁護士の反論にさえ「法廷侮辱罪」を振り回す。
法の正義なんてどこに?と思われる裁判官に怒りを覚えてしまう。

初めの8人が、黒人のブラック・パンサーのボビー・シールは
「法廷侮辱罪」で縛り付けられ猿轡を嵌められ、裁判から切り離され、
残り7人の裁判となる。この7人の打ち合わせも違う意見の噴出。

お気楽かと思えた人物が堂々の理論的な意見陳述や、
平和主義で理性的に見えていた人物が取り乱したり、
穏やかな人物がつい暴力を振うなど思いがけない行動も描かれる。


とにかく酷い裁判。これがほとんど実話だというのだから驚き。
そして今、アメリカの最高裁は大丈夫だろうかと。

トランプ氏が選挙結果を構わずに勝利宣言をし、最高裁に持ち込めば、
保守派6対3で勝つということが起きれば、米国の法制度は崩壊する。
今ですら、アメリカの裁判は正義ではなく勝負と言われているのだから。

このシカゴ7裁判は、控訴審で判決を当然、棄却されたそうだが、
今の米国、そして今の嘘がまかり通っている日本の政治状況を思うと、
嘘寒くなる。今見るべき映画として、お勧め。

スリリングで面白く、最後の法廷陳述はひたすら胸に迫る。
「人間の尊厳を守る」とはこういうことかと。
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