海外から違法薬物などを持ち込んだりする密輸の手口というのは、
ある意味、日々進化を続けているわけですが、中には曲芸みたいな手口もありますよね。
薬物をコンドームの中に入れて、
肛門から腸内に入れて持ち込むなんてのもありますよ。
これ、腸の中でもって破れでもしたら命が危ないですが、
今はそういうのもすぐに見つかってしまうようですね。
ただこの手口を使った犯人というのは、犯行がバレてコンドームを取り出して、
目の前に動かぬ証拠を突きつけられ『罪を認めろ』と言われても、
必ず否認(避妊)するそうですけどね。
航空機を使って覚醒剤を密輸しようとして摘発された『運び屋』の事件件数も多いですが、
その内訳を調べてみると、運び屋のうち八割は、薬物事件での前科前歴がなく、
暴力団関係者でもない『素人』なんだそうですね。
大半がお金目的に手を染めるわけですが、
『誰にでもできる簡単な密輸』なんて本を読んで勉強したんでしょうね。
運び屋の話を持ちかけてくるのは、元同僚とか借金の借入先とかが多いそうですが、
『渡航費用は全てこちらが出すから、海外旅行に行くだけで五十万円もらえますよ』
なんてな事言われたら、ちょっと心が動いてしまいますよね。
・・・最終的な目的地が留置所であったとしても。
一人あたりの平均密輸量は一・五キログラムだそうでして、
お母さんの皮下脂肪一・五キロでは三文の価値もありませんが、
白い粉の場合は末端価格にして一億三千五百万、五万回分の使用料にあたるそうですから、
素人さんも結構やりますよね。
褒めちゃいけませんけど。
でもこれ、日本で捕まる場合はまだいいんですが、海外で捕まったりしますと大変ですよ。
日本より遥かに罪が重くて、無期懲役どころか死刑までありますからね。
割に合わない事この上ないですから。
渡航者の荷物からそれらしき物が出てきた場合、
本当に薬物かどうか検査しなくてはいけないわけですが、
面倒だという事で、『粉末状の物は一切持ち込み禁止』になったら大変ですよね。
「・・・お客さん、この白い粉は何ですか?」
「あっ、そ、そ、それは・・・」
「(舐める)やはりそうか・・・お客さん、困りますね、風邪薬なんか持ち込んじゃ」
「いえ、それは風邪薬なんかじゃありません」
「ウソついてもダメですよ。
私、ちょっと風邪気味でしてね、今舐めたら少し鼻水が治まりましたから。
それが何よりの証拠です。
しかも『パブロンA』って、純度の高い上物ですね。
この量だと、末端価格にして二千五百円ってとこですか。
これは全て没収ですからね。
・・・そちらのお客さんも、白い粉を持ち込もうとしたんですね・・・
あ、何ですか、これは『白砂糖』じゃないですか」
「す、すみません・・・これで、美味しいケーキが作ってみたかったんです」
「だからといって白砂糖を持ち込もうとするなんて、この白糖(悪党)!」
なんて怒られたりしましてね。
そんな風になったら、かなり面倒でしょうが。
微笑亭さん太
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