会場：兵庫県立芸術文化センターＫＯＢＥＬＣＯ大ホール
2019年10月18日 15:00開演
兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の定期演奏会は、ほぼ毎月の金土日と３公演行われる。
平日日勤なので金曜日は避けたいが今回は聴きたい指揮者であったのと土日ともスケジュール
があった為。
出演者(敬称略)
指揮：アレクサンドル・ヴェデルニコフ
Ｖｎ：クララ＝ジュミ・カン
管弦楽：兵庫芸術文化センター管弦楽団
コンサートマスター：豊嶋 泰嗣
PACの演奏会は何回も行っているが、全てゲストコンサートマスターの演奏で今回、初めて
本来のコンサートマスターである豊島さんの演奏を聴く。神戸新聞で、ご自身で
ストラディバリウスをお持ちだという話があったので聴いてみたいと思っていた音楽家であった。
曲目
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜1893)作曲
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Ｏｐ．35
セルゲイ・プロコフィエフ(1891〜1953)作曲
交響曲第５番 変ロ長調Ｏｐ．100
ロシア音楽がテーマのロシア人指揮者による演奏会。しかもヴェデルニコフさんは
ボリショイ劇場の音楽監督・首席指揮者を務めた方であった。ボリショイ劇場はバレエが有名で
それで行くとチャイコフスキーの三大バレエは避けられない。実際チャイコフスキーは人気が
ある、と以前ＴＶでお話しされていた。私も例外ではなく今回のヴァイオリン協奏曲も大好きな曲
である。しかしヴァイオリン協奏曲はソリストが主役ではないか、と言われるかもしれない。
それは確かにそうなのであるが私は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は交響的な
作品である、と考えている。交響的な作品であるならばオーケストラとヴァイオリン・ソロの
演奏を聴かねばならないが、これまで生演奏を聴けていなかった。＃ファ〜ミレの出だし
ピアノが指定されており、静かだが気品のある。オーケストラの団員が一人また一人と演奏
に加わり徐々に盛り上がって、それが逆に静まってソリストが入る。このソロが面白い事に
ラ＃ドミの変形。これはニ長調ではなく属調イ長調の主和音。ソリストが冒頭旋律を再現。
ここでテンポがModeratoに変わる、とある。そんなに飛ばして出ていないので少し落ちたかな
という程度。ソリストとオーケストラの掛け合いもあり再びオーケストラでの総奏。厚い自然と
ボリュームの大きい演奏。そしてカデンツァであるが座っていた位置が悪く、ソリストのクララ
さんが全く見えなかった。第２楽章Canzonettaはソリストのヴァイオリンが結構歌う。Andante
が指定されている緩徐楽章で故にスロー。アタッカで終楽章Allegro vivacissimoへ。後ろの
２楽章は何れもロシア土着の音楽を下敷きにしている。第２楽章が悲しい歌、第３楽章が
民族舞踏。クララさんはバレエ音楽の影響を感じる、と事前インタビューで仰ったが、実は
この第３楽章のベースはトレパーク。トレパークは「くるみ割り人形」にも出て来る。
本曲、終曲が一気呵成。グワーッと盛り上がって怒涛の如く終わる。
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