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2019年06月30日19:15

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【ブックレビュー】おとなの楽習シリーズ 世界史、理科(生物)、哲学

おとなの楽習シリーズ
世界史のおさらい
理科のおさらい 生物
哲学のおさらい
現代用語の基礎知識・編
自由国民社


 私はこう見えても(見えませんけど)中学までは真面目な良い子でしたので、勉強の成績も優秀でした。中学まではw
 本シリーズは表紙に「なんで中学の時にちゃんと学ばなかったんだろう…」「おとなになった今だからこそ…」とありますので、「知ってる事ばかりだろうけどまあ読んでやろうか」という不遜な態度で臨んだところ…。

(゚Д゚;) え゛…。知らない。こんなの習ってない。

 きっと脱ゆとりで、急に難しくなったんだろうと自分を納得させようとしましたら、世界史が2008年、理科が2010年、哲学が2013年の刊行でした。ゆとり教育真っただ中やんか(>_<)。

 そんな訳で、ちょっと真面目に勉強してみました。


世界史のおさらい
 先史時代から産業革命までをカバーしています。以降は「現代史のおさらい」で扱っているようですね。そもそもこのシリーズを読もうと思った動機のひとつに、洋菓子の本にはフランスやオーストリア等の歴史が常識として載っているので、ちょっと勉強しないといけないかなというのがあったのですが。

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 ポリス成立の初期段階では、都市集住化の中心となった有力市民が貴族化し、貴族制、ないし王制が採られていました。しかし、戦争のスタイルが騎兵(貴族)中心の騎馬戦から、がちがちに武装した重装歩兵(平民)がギチギチと壁のように並んで密集戦形を組んで戦う白兵戦に変わってくると、戦力の中心となった平民の発言力が強まり、各ポリスで、平民が集まる民会が開かれるようになりました。
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 西洋型民主主義の起源は、戦争での貢献度によるものでしたか。私たちは民主主義や各種権利が天与の物だと思いがちですが、それは現代日本だけのレアケースなのですよね。

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 十字運遠征は、正式には全体で8回(もしくは第五次を除いて7回)行われました。その他にも少年十字軍など、軍人以外が参加した民衆十字軍も組織されました。しかし、民衆十字軍の多くは、その道中で商人や領主の食い物にされ、キリスト教圏を抜けて戦地までたどり着けたのは、ごくわずかでした。
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 ひどいグダグダ軍ですね。なぜか東ローマ帝国のコンスタンティノポリスを制圧したり意味不明です。

 全体的に左寄りで、“反・新自由主義”的な歴史解釈が散見されます(まあ現代用語の基礎知識ですからw)。私のようなガチ左翼にとっては良い教科書ですけど、今現在の教科書としてはどうでしょうか。



理科のおさらい 生物
 生物については仕事と直接関係していまして、コラーゲンやヒアルロン酸のサプリを摂取すると、それが肌や関節に行って役に立つと信じている人が意外にも多くて困っています。商品説明がグレーゾーンを攻め過ぎという理由もあるのですが。それから、進化論については日本はまだマシなようですね。

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 遺伝子の突然変異は、まったくの偶然をもってあらゆる方向に起こります。紫外線などによる外からの力によって変異がおこる(ママ)にせよ、影響を受ける遺伝子配列の場所はまったくの無作為に選ばれた場所です。つまり、たとえキリンの首の長さに関する遺伝子に変異が起こったとしても、キリンの首を伸ばす方向にも、また短くする方向にも、遺伝子の変異は起こりえるということなのです。偶然に起こった遺伝子の変異によって生じてきた個体差が、他の個体よりも環境に適していたときに、自然淘汰が働きます。
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 もちろんダーウィニズムが圧倒的な定説ではありますが、ラマルク進化論が完全に敗北かというとそうでもなくて、先日も獲得形質が遺伝するのではないかという研究結果が報道されました。面白いです。
 本書の最後2章分は環境保護や遺伝子操作に割かれています。これはさすがに私の頃にはなかった…と思います(自信ないです)。



哲学のおさらい
 哲学史や思想史の本は数多く読みましたが、その中でも最も平易でした。ただ、平易だから理解しやすいかというとそうでもないのが学問の難しい面ですね。

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 サルトルは、「対自」「自由」の見方を根っこにしつつ、社会運動への参加、政治参加(仏語でアンガージュマン)の重要性をも主張しました。社会に対して「私あるいは私たちは、〜じゃない!」と訴えかけていくのです。権力、行政、制度による一方的な決めつけとそれに基づく縛り……そうしたものにどう反応するか、もちろんそれは「私(この本を読んでいるあなた)」の「自由」です。
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 もちろん実存主義の説明の流れの中で、サルトルの思想に触れた後での上記の文ではありますが、ここばかりに注目すると、拗らせた中学生がユーチューバ―になりそうです。社会参加を軽んじるつもりはありませんが、政治に興味を持ったら、声を上げるのを我慢して、数年間は勉強して欲しいなと思います。

 レヴィ=ストロースをフーコーやデリダと並んで採り上げているのは私的にポイント高いです。


 取り敢えず3冊読んでみました。あと興味があるのは、公民のおさらい、現代史のおさらい、保健体育のおさらい性教育、でしょうかw

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