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2019年05月19日14:02

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【ブックレビュー】食と健康の一億年史

食と健康の一億年史
スティーブン・レ著
大沢章子訳
亜紀書房


 昨年、ステージ上で食用カブトムシを食べるというパフォーマンスをした地下アイドルがクビになって大騒ぎ、という事件がありました。もともと虫を食べる趣味があったとか。そういえば私も子供の頃にイナゴの佃煮を食べた事があります。ハチの子も。珍味好きでしたら食虫の経験をお持ちの方が多いかもしれません。パフォーマンスとして食べるかどうかはともかく。


 本書の第一章のタイトルは「昆虫を食べないなんて」です。

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 コオロギは、体重一単位量を増やす際の二酸化炭素排出量が畜牛の五十パーセントで、飼料を効率的に食料に変換する割合は、鶏の二倍、豚の四倍、畜牛の十二倍。そう考えると、昆虫はレストランのメニューにもっと頻繁に登場していいはずだ。
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 人類の祖先にとって果物が主な食物になる前は、昆虫をバリバリと食べていたので、私達ももっと虫を食べられそうですけれど、残念ながら現代の人類は昆虫のキチン質を分解する酵素が少なくなってしまったので、効率的なカロリー摂取ができないのだそうです。ああ良かった。ただ、副菜としては有効だとしています。


 本書の主張と目的は冒頭とあとがきで、

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 本書『食と健康の一遠年史』のおもな主張は、現代に数多くの問題が浮上してきたのは、祖先が守ってきた食習慣やライフスタイルを変えたことや環境の変化が原因ではないか、ということだ。本書では、我々人類の祖先がどのように食べ、どのように暮らしてきたかを明らかにし、重大な慢性病の発症を抑え、あるいは遅らせるために、どのように祖先の習慣のいいとこ取りをし、日々の暮らしに取り入れるべきかについて、具体的な助言を行う。
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 本書『食と健康の一億年史』のおもな目的は、人の健康と医療に関する最新の科学的研究に進化生物学の視点を付与し、さらに過去の人々や現代の人々がどのように食べ、暮らしているかについての調査を加えて、我々人類は何を食べ、どう生きるべきかを述べることにある。
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と記しています。昆虫から始まって、果物、肉、魚、でんぷん、等々へと考察が続きます。
 著者は自然人類学という聞き慣れない分野の研究者で、人類学者らしくフィールドワークを実践して、とにかく現地へ行って食べる、飼育や加工を調査する、というフットワークの軽さと軽妙な文章が、読者を飽きさせません。カナダ人とベトナム人のハーフで、日本にも長期滞在した事があるようで、アジアや日本に関するネタが多いのも嬉しいです。アレルギーや寄生虫、糖質制限や遺伝組み換え等の最新の話題も漏れなく扱っています。
 ギリシャと沖縄の食生活の変化について考察した章「二度目の沖縄戦」では改めて現代人の食生活と身体的不活動(歩かなさ)について考えさせられます。最後に提言している「食べ方と生き方のルール」でも、9項目の最初に「よく歩く」を挙げています。うーん、耳が痛いです(>_<)。

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