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2016年04月30日09:37

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マスターができるまで ナツコの恋 35

俺が
『これ、マナブちゃんが書いたんじゃろ、
マナブちゃんの字じゃが』
と言うとナツコはしばらく躊躇っていたが
『そうよ』
よ言い、シノハラさんは
『マナブちゃん言うんは、あの、お正月に、ウチに来た学生さんかね?』
と言った。
ナツコは
『そうです。』
ともう一度同意をしめし
『私、どうしても納得できん事があったんです。
それで、オカザキ君に頼んで調べてもらったんです』
と言った。
シノハラさんは
『調べるって何を』
と苦い顔になり
『カサハラさん』
とナツコの事を名字で呼んだ。
ナツコは
『わかったます、、』
と辛そうな声を出し
『シノハラ先生が反対なんはようわかっています。
でもどうしても納得のできん事が出てきたんです。
これを調べていっとるうちに』
と言った。
シノハラさんは
『納得のできん事?
なんですか、それは?
女学生の分際で、火事の事やこ聞き回るんは賛成できん。
名探偵きどりで、こういった事にクビをつっこまんほうがええ。
この前ウチに来た時に、あれだけワシが注意してあげたはずにもかかわらず、調べんとならん事ができたて、それはいったいどがん事なんかいな?
言うてみなさぃ、、』
と言った。
俺は、今のシノハラさんの一言で、やはりナツコは再々、シノハラさんのもとを訪問しているのだと横目で推理し、すぐさま、これもまた気取った名探偵ごっこだなぁと反省した。
ナツコは決然とした面持ちで
『ほんなら言います。
それはあのお正月の夜の事です。』
と言った。
その瞬間、シノハラさんの顔がゆがみ
『お正月?
あの八木さんが亡くなった火事の起こった晩の事かな』
と言った。
ナツコは慌てて、
『違う違う
先生の事とは無関係じゃ』
と言い、
『確かに、今、先生が疑われているあの火事のあった晩の事ですが、先生の事とは関係ないです。
むしろその反対ですから、、
先生の疑惑をとく鍵が出てきたんですから。』
と言った。
『鍵?
また意味深な事じゃな』
シノハラさんがそういうと、ナツコはにわかに俺の肩をたたき
『あの晩じゃ。
ホラ、ヨシヒロちゃん、私らぁダレの会った?帰り道に。
忘れた?
会ったでしょう?』
と言った。
俺が
『ヤマナカ君、、』
と言うと、ナツコは
『そう、ヤマナカ君。
あのレモンの店で不良達と喋っとったヤマナカ君。
あの晩、ヤマナカ君は確か私らぁに、
「これから塾の講師のバイトがあるんだ」
って言うとったでしょ。
それで、私、ピンと来たんよ。
それで、私、調べたんよ』
と言った。
俺は
『調べたんはマナブちゃんじゃろ』
と言いたかったが黙ってナツコの名推理を拝聴する事にした。
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