横須賀市さんぽ「横須賀中央・中里神社から龍本寺」
○「中里神社」(上町1-9)
京急横須賀中央駅から南に平坂を上ると、上町(うわまち)に「中里神社」があります。祭神は倉稲魂命（うかのみたまのみこと）で、穀物の神様になります。昔は稲荷ケ谷神社と呼ばれており、このあたりの地名も稲荷谷戸と呼ばれていました。文化14年（1817）の建立です。明治13年に村社となり、明治40年に無格社となり神明社と改称され、この時祭神に天照大御神が加わりました。明治42年以降、中里神社と改称されました。中里神社の「中里」は昔の地名からで、現在の上町がかつての中里村でした。
【イチョウ】
石鳥居の後ろに、左右に立つ樹齢300年のイチョウの木(雌雄の2株)があります。社殿の脇にも1本あり、すべて樹齢300年だそうです。石鳥居の後ろに並んでいるイチョウも鳥居として、社殿の横のイチョウは御神木として信仰を集めていました。現在、中里神社から港は見えませんが、イチョウの木やその周りに集まった人々は、ペリーが黒船艦隊を率いて日本に開国を迫った様子や、戊辰戦争の時に東京湾から出港した咸臨丸や、日露戦争の時にバルチック艦隊と砲撃戦をした戦艦三笠や、戦争中に横須賀港に集結した戦艦大和を頂点とする連合艦隊の姿などを、見つめていたのかもしれません。
【平坂】
横須賀中央駅から中里神社に上る坂は、「平坂」(ひらさか)と呼ばれています。勾配の急な平坂は、横須賀の東西を結ぶ道の役割を担っています。「ヒラ」は、坂・傾斜地・崖のことで、平坂は坂の坂・非常にけわしい坂という意味です。『古事記』の黄泉比良坂（よもつひらさか）があります。昔は砂利道でほこりがひどく、大雨では坂が川になったといわれ、急坂のためか馬が骨折したこともあったといいます。坂下には荷車のあと押しをする「立ちん棒」がたむろしていました。
【中里神社の庚申塔】
境内の片隅に捨てたように置かれていて、かなり風化が激しいです。
○「道路元標」(上町1-44)
平坂の交番のある交差点の片隅に「道路元標」があります。前面に「道路元標」、 背面に「神奈川県」と刻印されています。大正時代に造られたもので、その当時、国道31号（現在の国道16号）の終点と県道横須賀三崎線の起点に置かれたものです。この道標が、周辺各地までの距離を測る基点となっていました。
○「緒明山公園(読書公園)」(上町1-66)
中央図書館の北側に、「緒明山公園」(通称は読書公園)があります。中央図書館がある一帯が「緒明山」(あおきやま)といわれ、わが国近代造船業の発展に尽くした伊豆戸田村出身の緒明菊三郎の所有地でした。それ以前は雑賀山、大道山とも呼ばれていました。
○「うぐいす坂」(上町1-33付近に説明板)
上町1-29と1-36の間から汐入町2丁目に向かって北西に上る「浦賀道」は、「うぐいす坂」と呼ばれています。説明板によると、古老の話では戦後も長い間、木々が生い茂り昼なお暗い坂道でした。昔は、うぐいすの鳴き声が絶えなかったそうです。坂上は、咸臨丸の副艦長格の浜口英幹が住んでいて「花屋敷」と呼ばれていました。
【浦賀道】
「浦賀道」は、横須賀市のHPに次のように紹介されています。
《享保5年（1720）、江戸湾防備のために伊豆下田から浦賀へ奉行所が移されると、江戸と浦賀間の人や馬の往来が盛んになったことから、三浦半島に浦賀にいたる東西2本の道が作られた。これが浦賀道である。「東の浦賀道」は、東海道保土ヶ谷宿から六浦（ここまで武蔵国）を過ぎて相模国に入り、浦郷、十三峠を越えて、逸見、汐入、公郷、大津等を通って、矢の津坂から浦賀に入った。江戸からは17里半（約69�辧砲任△襦６眤瑤�ら横須賀に至る道は難所の連続であり、この山越えを避けるため、品川から江戸湾沿いの港、神奈川、金沢、榎戸、大津などに寄港し、浦賀に至る海路も利用された。「西の浦賀道」は、東海道戸塚宿から鎌倉道に入り、鎌倉を経て葉山、木古庭、平作、衣笠、大津に至り東の浦賀道と合流するものである。江戸から浦賀まで20里（約79�辧砲任△襦�この道は古代の東海道と推定される。浦賀奉行が江戸への往復に利用するなど公道の位置付けで、東海道のように「うらがどう」と呼ばれていたとの事である。》
【大勝利山(小屋の台)】
うぐいす坂の最高地点の北側を「小屋の台」といいます。日露戦争の戦没者の忠魂を祀る堂があり、山号を大勝利山といいました。『横須賀案内記』には、「昔時、一小芽屋（ぼうおく）あり、茶菓をひさぎて行人を待つ。故にこの称あり」とあります。
【谷町坂】(汐入町2丁目)
汐入小学校の南側を南西に下る浦賀道は、「谷町坂」と呼ばれています。このあたりは昭和24年まで「谷町」と呼ばれていました。
○「芥川龍之介下宿跡」(汐入町3-1)
谷町坂を南西に下って行くと、交番裏の小公園のあたり(尾鷲宅)は芥川龍之介が大正6年から7年にかけて下宿していました。鎌倉から横須賀の海軍機関学校に通うには遠すぎたようで、横須賀の汐入に引越しています。横須賀の下宿のことを、婚約者の塚本文さん宛に次の手紙を出しています。
《(前略)こんどの家は、お姿さんと女中と二人しかいない家です、横須賀ではかなり財産家だそうです、僕の借りているのは二階の八畳で家は古くても、落着いた感じのある所です、お婆さんは大分耳が遠いので話をすると必ずとんちんかんになります、今朝も僕が「もう七時でしょう」と言ったら「ええじきこの先にございます」と言いました、七時を何と間違えたんだか、いくら考えてもわかりません。》
○「長源寺」(汐入町3-8)
長源寺坂を南東に上ると「長源寺」があります。もとは長源院といい、江戸の芝の愛宕下にありましたが、旧横須賀村楠ヶ浦の沖にあった波島に移り、天正年間（1573〜91年）に現在地に移転しました。
【長源寺坂】
長源寺の前を南東から北東に上る坂は、「長源寺坂」と呼ばれています。坂上を行くと中里通りになります。
【天文台跡】
長源寺の北側の高台に、赤い煉瓦建築の建物「天文台跡」(島森孝一宅)があります。汐入小学校わきの山頂に、別名を測器庫という海軍施設がありました。地元の人は「天文台」と呼んでいました。
○「ちこく坂」(汐入町3丁目)
長源寺前の交差点(三差路)から南から南西に上る坂は、「ちこく坂」と呼ばれています。坂上の不入斗中学校のところにあった陸軍の重砲兵連隊への坂で、連隊へ遅刻しないように兵隊が駆け上ったのでこの名がつきました。戦後、地域の発展をねがって「千石坂」と書かれるようになりました。
○「はまゆう公園」(汐入町4-25)
ちこく坂を上り坂上の坂本町に入る手前で、左の石段を上って左に行くと右下に「はまゆう公園」があります。今はサッカーのグランドとスタンドで大部分を占めています。
【一誠神社の碑と一誠園の碑】
公園内の北側の崖下に、「一誠神社」の碑（右側）と「一誠園」の碑(左側)があります。この場所に庭園の一誠園と祠の一誠神社を設け、患者の憩いの場と精神修養の場としました。一誠神社の碑の後ろ(北側)は男坂の跡のようです。
【女坂】
公園の南東の坂は「女坂」と呼ばれていました。昔あった陸軍病院の正面の坂にあたります。
【軍用地の石柱】
上町4丁目と不入斗（いりやまず）4丁目の境、はまゆう公園に沿う坂の途中に「軍用地の石柱」があります。明治24年から昭和20年まで、はまゆう公園のあたりは陸軍病院でした。
○「大六天神社」(坂本町2-29)
はまゆう公園を南に向かい右折していくと、坂本坂上に「大六天神社」があります。それにしても高い階段です。祭神は大山祇命（おおやまつみのみこと）で、山海を司る神様です。坂本の鎮守として、寛元4年（1246）に勧請されました。本殿は天正2年（1574）に造営されました。
○「慈眼寺」(不入斗町3-77)
少し戻って不入斗中学校から南東に向かうと「慈眼寺」があります。白塀に囲まれた瀟洒な寺院です。最乗寺の開祖了庵慧明の妹である慧春尼がこの寺の開祖で、この人は大変な美人でしたが、出家する時に焼け火箸で自分の顔を焼いた話が伝わります。
【不入斗の地名】
古代、谷間の入り口を入山瀬(いりやませ)と呼んでいました。これが訛って不入斗（いりやまず）となりました。また斗というのは年貢のことで、不入斗は年貢を免除するという意味でもあります。坂本町には、山口百恵の出身校・不入斗中学があります。
○「西来寺」(不入斗町3-38)
慈眼寺の西方に「西来寺」があります。弘仁年間（820〜824）に一乗寺として創建され、後に西来寺と改めました。
【梵鐘】
銅製鋳造の梵鐘で、総高147.0cm、鐘身114.2cm、口径76.1cm。鐘身に陰刻された727文字の銘文から、元禄9年(1696)に太田近江大掾藤原正次初代の製作であることがわかります。太田氏は代々江戸深川に工房を構え、太田近江大掾藤原正次を名乗り19世紀後半まで約190年にわたり鋳物師として活躍しました。
○「御嶽神社」(不入斗町3-4)
西来寺の南に「御嶽神社」があります。祭神は天香護山命。1689年の勧請で、本殿は1861年に再建、拝殿は1830年に再建されました。
○「不入斗公園」(不入斗町1-2)
「不入斗公園」は敷地面積16.3haの総合運動場で、陸上競技場の他、2面の軟式野球場、8面のテニスコート、弓道場があります。敷地内には総合体育会館(メインアリーナ)、温水水泳プール(サブアリーナ)、子供の遊び場などもあり、市民の憩いの場となっています。
○「豊島小学校裏の庚申塔」(上町3-21)
不入斗公園から北東に向かうと、豊島小学校のちょうど真裏の曲がり角に5基の庚申塔があります。
○「妙竜法徳弁財天」(上町3-13)
豊島小学校入口交差点角の池の端小公園に、小さな祠「妙竜法徳弁財天」があります。明治初期、横須賀は埋め立てによって市街地ができました。埋め立ての時、子供たちが捕まえたー匹の蛇を、通りかかった「きくや」の先々代、小田寅之助さんが「これは池の主である弁天様の化身に違いない」と譲り受けました。そして日ごろ信仰する江の島弁財天に参拝、「妙竜法徳弁財天」の名を受け、商売繁昌の守り神としました。
○「横須賀中央公園」(深田台19)
弁財天から北東に向かうと「横須賀中央公園」があります。旧日本軍の演習砲台跡を利用して造られた公園で、平成元年の「核兵器廃絶、平和都市宣言」を記念して建てられた「平和のモニュメント」がシンボルとなっています。春には桜、初夏はアジサイで人気のスポットで、東京湾や対岸の房総半島までを望めます。
【島田修二の歌碑】
�牴�須賀の、丘に吹く風、いちにんの、いのちの重み、世界に告げよ��
島田修二は平成16年1月、この丘に来て、ふるさとの横須賀の歴史と未来を思い、世界の平和を思い、ひとりのそしてすべての人のいのちの重みを思って、この歌を詠みました。
【デッカー司令官胸像】
ベントン・W・デッカー司令官は、横須賀米国海軍基地司令官として、大戦後の混沌たる昭和21年4月に着任しました。それ以来4年間に渡り、横須賀市経済の復興に絶大な同情と好意を持って市民を指導した偉大な恩人です。
【砲台跡】
明治初年以来、横須賀は海軍港を中心に発展してきました。一方で、陸軍は首都東京を中心とする東京湾一帯の防衛上から、明治13年に第一号の砲台を横須賀市内の観音崎に構築し、それ以来、三浦半島に28ヶ所の砲台を築きました。中央公園もそれらの砲台のひとつで、明治24年から第二次世界大戦終結までの55年間、「米ガ浜演習砲台」となっていました。砲台のあった当時の地形をそのままたくみに利用し、変化に満ちた散歩道や展望広場などを整備しました。
【これっきり坂】
横須賀中央公園に上る坂は「これっきり坂」と呼ばれています。山口百恵の「横須賀ストーリー」の歌詞を思い出させます。
♪・・・急な坂道駆け上ったら、今も海が見えるでしょうか・・・♪
【自然・人文博物館】(深田台95)
おもに三浦半島の自然史と歴史を研究し資料を集め、展示と教育を行う博物館です。自然展示室では三浦半島の動植物を海岸や森林のジオラマを交えて紹介しているほか、ナウマンゾウなど三浦半島から産出した化石や岩石を展示しています。人文展示室では三浦半島から出土した土器や骨角器・埴輪、ペリー来航当時の絵巻、江戸時代以降の民具、横須賀製鉄所の模型などを展示しています。
○「聖徳寺」(田戸台1)
中央公園から京急線沿いに南に向かうと、聖徳寺坂の途中に「聖徳寺」があります。文和2年（1353）、田戸庄の長嶋家を継いだ楠木正徳の創建と伝えられています。新田義貞の鎌倉攻めを助けた三浦氏の一族・大田和兵六左衛門義勝は、その後に数々の理由により足利尊氏に攻め滅ぼされ殺されそうになったとき楠木正成に助けられます。大田和義勝の子・鶴吉丸は名を永嶋と改め、田戸に住みました。これが安浦町の赤門がある永嶋家の先祖と伝えられています。大田和義政は、恩義のある楠木一族に対して楠ヶ浦に館を造り住まわせました。これが、楠ヶ浦の地名の由来となりました。時代は足利氏の世となり南朝方の楠木一族には利があらず、楠木正行の弟・楠木四郎正徳は、田戸の永嶋義政を頼り逃げてきました。その後、大田和義政の妹・八重姫が楠木正徳と夫婦となり、大田和義政には子がなかったため、楠木正徳が永嶋家を継ぐことになりました。そのため、永嶋家の血筋は三浦一族でもあり、楠木一族でもあります。聖徳寺は、永嶋家の菩提寺ともなっています。
【聖徳寺坂】
聖徳寺の前の坂は「聖徳寺坂」と呼ばれています。
【安岡金馬の墓】
横須賀の海軍機関学校で教鞭を執り、明治初期の海軍創設に尽力した「安岡金馬の墓」があります。坂本龍馬の妻・お龍は菅野覚兵衛の妻・起美の実姉で、安岡金馬の兄・重房の妻・お力は菅野覚兵衛の実妹という関係にあり、お龍が横須賀で再婚した時、金馬が媒酌の労を取ったのも頷けます。
○「永島家赤門」(安浦町1-16)
聖徳寺の北東にある「永島家赤門」は、江戸時代の屋敷門です。ここの永島家は三浦一族の子孫であり、三浦半島の総名主でした。このあたりは明治末まで浜辺でしたが、大正12年に埋立てられ、明治に埋立てられた米が浜と陸続きになりました。安田善次郎の「安」をとり、「安浦」という地名が誕生しました。線路したには、海辺であったことを想わせる石垣が残っています。
【島崎藤村「夜明け前」の山上家】
島崎藤村の名作「夜明け前」に登場する山上家は、聖徳寺坂脇にある赤門の永島家がモデルになっています。藤村はこの小説をモノにするため、幾度かこの永島家に訪れています。
【永島家の道標】
永島家の門前に円筒形の高さ1.8ｍの「永島家の道標」があります。よく見ると、「右 大津浦賀道、左 横須賀金沢道」とあります。
○「龍崎訓導顕彰の碑(田戸小学校)」(安浦町2-12)
永島家から北に向かうと田戸小学校があります。校門の少し右に「龍崎訓導顕彰の碑」があります。明治時代、先生のことを「訓導」といいました。太平洋戦争の開戦2年目の昭和17年11月19日、横須賀市立田戸国民学訓導の龍崎ヒサヲ先生は、教え子を救うために身代わりとなって、鉄路を愛情の血で染めました。享年30歳でした。生家は池田町、墓は小矢部の大松寺。
○「坂本龍馬の妻・龍子の胸像(おりょう会館)」(米が浜通2-5)
田戸小学校の北、横須賀共済病院の東に「おりょう会館」があり、入口に「龍子の胸像」があります。坂本龍馬の妻・龍子が横須賀に住むようになったのは、明治8年に作成された戸籍簿に名前があるので、明治時代初期と考えられます。移り住んだ理由は、米が浜に家があった呉服行商人の西村松兵衛と知り合い再婚したことによります。そして名前を、西松ツルと名乗るようになります。西村松兵衛とは、寺田屋時代に出会っています。明治39年1月15日、妹や夫に見守られながら波乱万丈の人生に66歳で幕を閉じます。大正3年、夫や有志によって横須賀市大津町の信楽寺にお墓が建てられました。墓石は海軍工廠が寄贈したドッグ建設用の物が使用され、「贈正四位阪本龍馬之妻龍子墓」と刻まれています。
○「神明社」(米が浜通12)
横須賀共済病院の北側にある坂道の途中に「神明社」があります。創建の詳細は不明ですが、もっとも古い棟札が元禄4年8月であることから、元禄4年（1691）にはすでにここに神明社が建っていたと推定されます。深田台の神明社は、もとはこの場所にあったといいます。明治16年に現在は中央公園となっている背後の山が陸軍の砲台になるため、この地から深田台(文化会館の西側)に移設されましたが、ここの神明社は昭和54年に再建されました。
【深田の裏坂】
神明社の前のだらだら坂は、土地の人に「深田の裏坂」と呼ばれています。かつて深田町は、上町(元深田・台深田・大門深田)と下町(米が浜深田)に分かれていました。裏坂は、下町と上町とを結ぶ生活道路でした。整備されたのは大正8年だといいます。坂の途中に、道路敷地費寄付者の石板があります。坂名の標柱の先を右に入っていくと、龍本寺のお穴さまです。
○「龍本寺」(深田台10)
神明社の北隣に「龍本寺」があります。昔から「米ヶ濱のお祖師様」と呼ばれ、昔は「よねがはま」ではなく「こめがはま」と呼ばれていました。本尊は、小湊誕生寺を建立した日家上人作の日蓮32歳の像です。
【角無し栄螺(サザエ)の伝説】
日蓮が猿島へと向かうとき、裾をからげて船に近付き日蓮を背負って岸辺まで連れて来た人物がいます。その人が石渡家の先祖、石渡左衛門尉則久でした。夢の中で日蓮のことを知り、迎えに行きました。石渡左衛門がサザエの角で足を怪我して血を流しているのを見て、日蓮は今後サザエの角で人々が傷付くことがないようにとお題目を唱えました。その後、この海岸で取れるサザエには、角がなくなったと伝えられています。石渡左衛門は、もともと「石堂」と名乗っていましたが、日蓮を背負って浜を渡ったことから「渡」の字にして「石渡」としたそうです。これらのアワビとサザエは、龍本寺の霊宝として格護されています。石渡左衛門尉は他の人々とはかって、ここに草庵を建てました。これが御浦（みうら）法華堂で、後に龍本寺となりました。
【お穴さま】
龍本寺の共済病院側の中腹に「お穴さま」があります。日蓮が21日間篭り、大願成就の祈念を行なったと伝えられる座禅窟です。その後、日蓮は鎌倉へと向かいました。
○「諏訪神社」(若松町3-17)
龍本寺の北西、平坂下に「諏訪神社」があります。天正元年（1573）の創建。かつては横須賀村字中横須賀瀧にありましたが、明治時代になり海岸の埋め立て工事や軍事施設の建設などのため現在地に移転しました。
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