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2011年05月20日07:52

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レナの約束―1―

『レナの約束』

この本を読み始めたのは、3月のはじめだった。
原発事故後の輪番停電の中、ロウソクのあかりでも読んでいた。

―― アウシュヴィッツで何が起きていたのか。
―― なぜ、レナは生き延びることができたのか。
ずっと感想を書こうと思いながら、言葉にできなかった。
いまもまだ、難しいだろうか? それでも思いつくままに、綴ってみようと思う。


ナチス・ドイツの強制収容所の様子は、映画や本でかなり見聞きしてきたけれど、細部にわたってこれほど詳しく記述されたものは初めて。
想像を絶するようなむごいシーンの連続に、からだが震える。
個として集団として、人間はどこまで非人間的に、残忍になれるか――まるでシステマティックな実験のようだ。
そう。まるでほんとうに考え抜かれていたみたい。どうしたら被収容者を効果的に痛めつけ、連日恐怖のどん底に突き落とせるか、どうしたら人の誇りや尊厳まで奪うことができるか. . . 。
あまりに周到な残虐性に、あらためて衝撃を受けた。

でも、より衝撃的だったのは、ホロコーストの悲惨そのものではなく、その渦中にあって、明るさを失わないレナの在りかたのほうだ。
ナチの卑劣な行為に虫酸を走らせながらも、最後まで読み進むことができたのは、彼女の魅力のおかげ。

まだ二十歳の、働き者の農民の娘が、過酷な運命に翻弄されながら・・・と書くと、けなげで美しい印象だけれど、ちょっと違う. . . ううん、たぶん相当に違う。
レナがけなげで美しいことに変わりはないんだけど、どういうか、すごくpractical(現実的・実用的)なんだな。

集中力、観察眼、判断力、楽天性、柔軟性、優しさ、思いやり. . .  アウシュビッツで生き残るために必要な素養のすべてを、生まれながらにして持っていたみたい。生と死の境界ではいつでも正解が出せる。そして幸運をも味方につける。「天性のサバイバー」と言っていいと思う。

そんな彼女だけれど、その「過去」を物語るのに50年もの歳月を要している。
その事実が、いまとても重くせつない。

そして同時に思う。
この春『レナの約束』が読めて、ほんとうに良かった. . . ♪

(つづくhttps://mixi.jp/view_diary.pl?id=1726035224&owner_id=1670149 さくらんぼ

検 アウシュヴィッツ

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