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2010年05月27日18:41

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<ネタばれ注意>嫌な過去を受け入れる事で、きっと未来は高く飛べる(DVD「RISE UP」を見て)

現役最高齢の医師・日野原重明先生は言う。
「命とは、自分が自由に使える時間の事だ」と。
有効に時間を使わないと、アッという間にタイムアップに
なってしまう。
生きていく中で時間がストップしてしまい、そこから前に
進めない人が大勢いる。
好きな異性に振られていつまでも落ち込んでいる人、
思わぬリストラにあってしまい茫然としている人、
過去の栄光にしがみついて一向に未来に目を向けようとはしない人等等。

 この映画の主人公・ルイ(山下リオ・徳島県出身)も時間が止まって
しまった一人だ。彼女は交通事故の後遺症で目が見えなくなってしまった。
犯人はまだ見つかっていない。犯人が見つかったところで失われた光は
取り戻せない。
父母兄含め4人で幸せな家庭を築いていたルイだったが、事故を
境に一変する。その行き場の無い怒りや絶望・孤独感をルイから
ぶつけられた家族は、バラバラに崩壊。今やルイのもとには兄しか
頼れる存在はいなくなった。だが、兄にも心を閉ざし、
兄から薦められたリハビリセンターに行かず、毎日、
抑えきれない感情を一人で抱え込んで生きていた。

 そんなある日、彼女は1人の少年に出会う。パラグライダーに
乗り自由に大空を飛ぶ・航(林遷都)だ。彼は、「ライオン」と
呼ばれる、めったに起きない強力な上昇気流に乗りたいという
夢を持っていた。その夢が叶えば、きっと自分は成長できるはずだと
信じていた。

 ルイのわがままに付き合わされても文句を言わず、優しく接して
くれる航に次第に心を開いていくルイ。

 だが、この2人は、どうしても消す事ができない残酷な過去を
ともに背負っていた。それがわかり、航に心を閉ざすルイ。
彼女が大切にしていたカメラを航はルイに手渡すが、ルイは怒りに
身をまかせ、カメラを思いっきり地面に叩きつける。
そのカメラで、大切にしてくれた最愛の父を母を兄を撮影してきたが、
「目の見えない私には、もう必要ないでしょ!」と、壊してしまったのだ。
幸せな過去の思い出がいっぱい詰まったカメラを。

 粉々になったカメラを拾い上げた航は、それを修理に出した。
そして直ったカメラを再びルイに手渡す。
 「これって、目の見えない私に対する嫌味なの?」ルイは
怒りを露わにして言った。
 カメラを直しルイに手渡した航の真意とは?
 果たして2人の間に深まった溝は埋める事ができるのであろうか?

 好きだった異性に振られた時、相手からもらったプレゼントを
捨てる人がいる。逆に残す人もいる。
 大好きで、精魂こめて仕事をやってきたのにも関わらずクビを
宣告された人にとっては、その会社の仕事道具を捨てる人もいるだろう。
逆にとって置く人もいるだろう。
 捨てる人は、嫌な過去を忘れてしまいたいと思うからだろう。だが、
捨てるものには、良い思い出もいっぱい詰まっている。
 残す人は、振られた事実より、自分を捨てた会社より、良い思い出を
大切にしたいから残すのだろう。
 残すのは、ただいつまでも甘い過去の思い出に浸るだけではないように思う。
好きだった相手から振られたという事実、滅私奉公した会社から
捨てられた現実をその物に詰め込んで、未来に向けた新たな出発の
座標軸として、未来へと高く飛ぶための土台として、それを
残すのではないだろうか。
 
 この物語での、未来へと高く飛ぶための土台は、ルイにとっては
カメラ、航にとってはパラグライダーだったのだ。

 厳しい過去の現実、苦々しい過去の思い出、辛くて息が詰まる過去の事実を
受け入れる事で、それを土台にし、より高く、より遠くに飛べる事を
伝えてくれた映画に出会えたと思う。

(終わり)

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