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2023年09月21日12:43

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地下二階に行ける村上春樹

「春樹さんの今回の新作、どう思います?」
というメールが最近二通頂いたので
今日は私の感想のようなものを。

なるべくネタバレしないように書きますが
それでも多少内容に触れてしまうので
それを了解した人だけが読み進めてね。

春樹さんの新作とは4月に出た
『街とその不確かな壁』。

〜〜〜〜〜〜★〜〜〜〜〜〜

春樹氏の著作は大好きで
新作が出るとほぼ買って、
ブログにもそれを時々書いてきた。

http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/masako-9/?Y=2018&M=3&D=6
http://masako9.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/index.html
http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/masako-9/?Y=2013&M=8&D=25
等など。

しかし今回のは催眠作用がマックスで、
3ページ読むと寝落ちの連続で
お盆にやっと読み終え、今も再読中。
(;^_^A

前半はマイベストでありバイブルのような
『世界の終りと〜』の設定に似ているので
正直落胆。
しかし後半は村上ワールドがさく裂で大満足。
とはいえその良さを全く文章にできない。。。。

それはなぜかと考えてみると、、、
春樹氏はインタビュー集
(『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』
 文春文庫)の中で

「心を家とすると、
 普通の人は地下一階までしか行けないけど、
 私は地下二階まで降りることができる」
と述べている。

私はこの比喩が好きすぎて
地下一階まで行くカードワークを
考えてしまったほど(苦笑)。

※『マイホームワーク(心の家)』
 https://ameblo.jp/oneself2012/entry-12002196989.html

さてこの地下二階とは、
太古からの水脈みたいなものが流れている場所。
彼はそこから少しの水を掬って
持ち帰ることが出来る能力があるよう。
でもそこは長くいると危険な場所。

今回の「街と〜」は地下二階に
ぐんぐん行くので
通常の頭ではついていけなくなるし、
頭は怖がるので眠くなるようだ。

とにかく彼の作品は
誰かが境界線の向こうに行って
帰ってこなくなる話、
境界線の向こうから
何か危険なものがやってくる話、
その危険に思えるものを
押し戻す話の連続。

こうした地下二階からの使者として
「幽霊」=「この世ならざるもの」
が大抵出てくる。
今回の「街と〜」も勿論それが登場。
だから好き嫌いも分かれると思う。

でもやっぱり読書って
ファンタジーとかノンフィクションとか
ジャンルに関係なく
普段自分が住んでいる殻から外に出る、
ということが大切なのでは?

そして実はその殻は
狭くて小さいんだけど
それさえ気づかないで
私達は生きているのだと思う。

だから自分が本を買う(読む)基準は
今の私とは全く違う遠い国、
あるいは違う時代、
そして年齢も性別も宗教も
生活文化も異なる人の中に入り込んで、
その人の身体を通じて
その世界を経験できるかどうか。

先月ここに書いた
『放浪記』もそういう意味で
ほんとよかった。
http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/masako-9/?Y=2023&M=8&D=9

その他最近のヒットは昨春に出た
『掃除婦のための手引き書』
ルシア・ベルリン:著
(講談社文庫)もすごかった。

こうしたものばかり読んでるので、
速読には一切興味なし、
遅読、万歳なのだ。

若い時は仕事の必要性で
自己啓発本とか
スピリチュアル本の類を
買い漁って斜め読みしたけど
今はほぼ興味なし。

と思っていたら今朝のヤフーニュースで
中田考(なかた・こう)という
イスラーム学者さんが
「バカほど『自分の頭で考えろ』というが
 人生の暇つぶしに『読書』を圧倒的に勧める理由」
という興味深い記事を発見。
うんうん、その通り。

とにもかくにも明後日の
秋分の日くらいから
少し涼しくなりそうだから
やっと読書の秋、到来かしらね〜!
(^^)/

【補記】
(1)9/1付でHP更新
   http://oneself.life.coocan.jp/

(2)認定トレーナーの開講日程 を8/27付で更新
   http://orion-angelica.jp/oneselfcard/

(3)この内容とはまた違う観点で綴る
   「ワンセルフカードの広場」
   https://ameblo.jp/oneself2012/
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