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2019年11月16日19:35

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【映画】『世界で一番ゴッホを描いた男』

複製画制作で世界の半分以上のシェアを誇る油絵の街、中国大芬(ダーフェン)。出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けている。絵を描くのも食事も寝るのも全て工房の中。いつしか趙小勇はゴッホ美術館へ行くという夢ができた。本物の絵画からゴッホの心に触れて何か気づきを得たい、今後の人生の目標を明確にしたいという思いと共に。
どうしても本物のゴッホの絵画を見たいという想いは日増しに募り、ついに夢を叶えるためにアムステルダムを訪れる。
本物のゴッホの絵画を見て衝撃を受けた趙小勇はいつしか、自分の人生をゴッホの生き様に写し合わせ、何をすべきか自分を見つめ直すようになる。果たして自分は職人か芸術家か。思い悩んだ趙小勇はある決断をする……。


中国大芬にある「油絵村」の事は知っておりましたが、これほどまでに過酷な労働環境だったとは存じませんでした。現在、自分は東京に住んでいて、移動することなく数千枚のほんものの絵画や芸術品を当たり前のように観て参りましたが、それがどれほどまでに有難いことなのかを再度実感させてくれる映画でありました。
数万枚ものゴッホの複製画を描きながらも、図版でしか接してこれなかった趙小勇。彼がどれほどまでにほんもののゴッホの絵を観たかったかは、この映画を観て頂ければ解るのでありますが、自分的に涙が止まらなかったのは、彼がオランダのみならずアルルとオーヴェルを訪れると言う「聖地巡礼」の下りでして、フィンセントの墓に中国式に三本の煙草を備えるシーン等は、自分的に最高の墓参り映画だと思っている台湾映画の『超級大国民』での蝋燭をともしながら「ごめんなさい」と日本語で台詞を言うあの場面に匹敵するものでありました。


趙小勇は帰国後、自分を育ててくれた祖母の肖像画を初め、20年間寝食を共にした工房や路地等を描くのですが、それはいつしかこの町が複製画の産地ではなく、パリのモンマルトルや池袋モンパルナス同様に画家の故郷になることを願って止みません。

本作品今迄に観た「ゴッホ映画」の中で一番であると自分的にはそう思った一本でした。



http://chinas-van-goghs-movie.jp/index.html
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