安アパート/智也の部屋/夜/雨
ポ「っち、結局雨止まなかったな。」
青「…んー…ちょい濡れー。」
ポ「着替えは持って来たんだよな?」
青「…んー。 …とりあえず入る分だけー。」
ポ「そうか。んじゃ風呂沸かすからとりあえずストーブにでも当たってろ。」
青「……んー。」
青「……ぉー。」
青「……んー。 ……あったかなんだよ。」
ポ「ああ、だから、調べてくれよ。奈々の家? 知らん。とりあえず莫迦どもが泊まってるから暫く大丈夫だろ。」
青「…んー?」
ポ「ああ。頼むな。さってと。明日と明後日は休みだったよな?」
青「…うん。」
ポ「んじゃ先ずは寝床だな。暫く干してもねぇから黴臭いかも知らんが。」
青「…だいじょぶ。」
ポ「そうか。」
?(ぴんぽーん。)
ポ「ん? ああ、ったく、忙しいってのに。」
青「…お客さん?」
ポ「ああ、一応隣人だな。多分上がって来るから挨拶だけしてくれ。」
青「…ぁぃー。」
ポ「はいはい、っと。どうせ由衣だろ。」
白「……どうせって何かしら?」
ポ「わりぃけど晩飯は喰って来た。奈々と。」
白「……? ああ、従妹だったかしら?」
ポ「ああ。縁あってここで暮らす事にした。」
白「…そう。挨拶しても良いかしら?」
ポ「…お前がしっかりし過ぎてるからいつも順序が狂うんだよ。」
白「ふふっ、良いじゃない。お邪魔するわ。」
ポ「はいはい。」
青「…………。」
白「初めまして。隣人の白河由衣です。智也の、従妹さんよね?」
青「…ぁ、……ぅ、」
ポ「人見知りするんだ。そうだな。何か飲むか?」
白「貴方が出すのはお酒だけでしょう?」
青「…………。」
ポ「呑めば変わる事だってあるだろ。」
白「…良い方向ならば良いけれど?」
青「……ぁ、……ぁの、……。」
ポ「呑み易そうなのは……焼酎ハイボールか? ガムシロップも入れてやるよ。」
白「…………はぁ、中学生でしょう?」
ポ「俺もアレもその頃には呑んでたぞ。」
白「……莫迦も大概にしないと。」
ポ「莫迦もハサミも使い様なんだよ。」
青「…ぉ、……ぉぉ……。……キレイ、なんだよ。」
白「もぉ、知らないわよ? ところで、なんでライムなんて在るのかしら?」
ポ「まぁ、趣味だな。」
白「…全く。薄めにしてある筈だけれど、刺激が強いようならガムシロップを入れて頂戴。」
青「…は、はい……。」
ポ「ふん。借りて来た猫だな。」
白「そういう事言わないの。さぁ、どうぞ。」
青「……ぅ、ぅい……。」
ポ「由衣は?」
白「そうねぇ、同じ物で良いわ。」
ポ「んじゃ俺も同じで良いか。」
青「……(チビチビ) ……ぉ?」
ポ「ん?」
白「あら?」
青「……(ゴキュゴキュ)」
ポ「ぁーあー! ダメだダメだ一気に呑むな!」
青「……ぁぅ?」
白「お酒はゆっくり呑むのよ。」
青「……ぉー。(チビチビ)」
ポ「…呑んでりゃその酷い気分も良くなって来る。喋りたくなったら好きなだけ喋れ。」
白「くすっ、智也はこの子が好きなのね?」
青「……んひっ。(チビチビ)」
ポ「まぁ、じゃなきゃ連れて来ねぇよ。」
白「明日は?」
ポ「有給使った。奈々も休み。」
白「そう、偶然ね。私も休みよ。」
青「……んー……んぉ、これ、先にお風呂行かないとヤバいヤツー?」
白「あら、未だだったのね。」
ポ「ん。先に着替えだけしちまえ。最悪風呂は明日だ。」
青「…ぁぃー。」
そんな。最初の夜。
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