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2019年06月09日07:01

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戦争により戦争を養う

威嚇によって中国本土を政治的に指導することが困難で、中国を武力占領する場合について、石原莞爾のいう「政治指導」は、軍事占領を含むさまざまなレベルの方法によるものと考えられていました。

石原莞爾は中国について、「軍閥、学匪、政商」の跋扈(ばっこ)によって戦乱が続き、「民衆」は塗炭の苦しみをなめている、との認識をもっていた。この「苦境」から中国の四億民衆を救おうとすれば、「列強」が中国の治安維持にあたるほか方法はない。

したがって、列強諸国による「国際管理」か、そのなかの一国による管理すなわち「領有」かが、中国民衆救済の道といわざるをえない(「現在及将来に於ける日本の国防」)。その意味では、日本による中国本土の占領·統治(「支那領有」)は、「支那民族を救う」ためであり、中国民衆に「幸福」をもたらすものだ、とも記しています。

石原莞爾は、満蒙領有による対米戦から、中国本土の武力占領へと進まざるをえない場合、それは日本にとって必要であるばかりでなく、中国民衆にとっても望ましいことだ、といっています。石原莞爾によれば、漢民族には、自ら「主権」を確立し、「近代国家」を形成する能力はなく、日本が代わって治安維持にあたる必要があるとの考えでした。

「支那人が果たして近代国家を造り得るや頗る疑問にして、むしろ我が国の治安維持の下に漢民族の自然的発展を期するを彼等のため幸福なるを確信す。」(「満蒙問題私見」)それゆえ、日本の武力により、「支那積弊の中枢」を切開して中国民衆に「潑剌たる新生命」を与え、その経済生活を解放しなければならない。

そのことは中国を市場とする日本の商工業のさらなる振興をもたらす。その意味で「満蒙」は中国を救うための「根拠地」であり、「中国民族を救う天職」は日本にある。つまり満蒙領有は、中国本土の「富源開発」につながり、そのことは将来におけるアメリカとの「世界争覇戦争」のための準備ともなるとされる。

「満州経略の目的は、我が国防の安固を期するとともに、対アングロサクソン世界争覇戦争のため、支那本部[の]富源開発の準備を整うるにあり。」(「満州経略方針」)したがって、石原莞爾のみるところ、日本軍の中国占領に要する費用は、それほど多くはならない。

なぜなら、「支那軍閥を掃討し土匪を一掃」して、その治安を維持すれば、中国民衆の「心服」をえて、占領地の「徴税、物資、兵器」により自活しつつ、対米持久戦を遂行できるからである。これを石原莞爾は、「戦争により戦争を養う」方式だ、としています。

「我らの消耗戦争は…戦争により戦争を養う本旨とせざるべからず。すなわち占領地の徴税、物資、兵器により出征軍は自活するを要す。志那軍閥を掃討し土匪を一掃して、その治安を維持せば、我が精鋭にして廉潔なる軍隊はたちまち土民の心服を得て優に以上の目的を達するを得べし。」(「現在及将来に於ける日本の国防」)
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