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2019年03月21日14:42

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【本】中山可穂著『娘役』角川文庫刊

皆様、お今日は。中山可穂さまの『娘役』角川文庫刊を読了致しました。その感想です。


宝塚歌劇団の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの男役・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長と、バラキとのコンビ愛。そんな彼女を遠くからひそかに見守り続ける孤独なヤクザ・片桐。大鰐組では若頭のことを二番手と呼び、兄貴分のことを上級生と呼び、引退のことを卒業と呼んでいた。組員には全員愛称がついていた。それが宝塚の風習を踏襲したものだということを知っているのは片桐だけだった。


中山可穂さまの『男役』が面白かったので、続けて本作も読了致しました。191頁の分量ですが、内容は盛りだくさんでして、この人は華やかな宝塚の世界も書けるけれども、男の義理人情の世界もキッチリと書けることを証明した一冊でありまして、前作の『男役』が完全なバックステージの視線から描かれたのに対して本作はファン目線からも描かれていて、完成度としては此方も中々のものでありました。

何と申しても片桐の一途な想いが切なくてついつい読んでしまうのでありまして、先代の大鰐組の組長であるムッシュと言うキャラクターも秀逸。

この本を読んで知ったのは、宝塚の世界では男役は男役なりの苦労があって、娘役は素の儘演じれると思ったら飛んでもない間違いでして男役を引き立てる為に血の滲むような努力と工夫が必要とされていることが分かっただけでも、この本を読んだ甲斐があったと言うものでありました。


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