チャックをおろして放出器官をあらわにする。
10秒。
ぼくがこのおしっこをしている10秒間
同時系列で世界のどこかで大きな何かが起こっているのは確か。
それが悦びで溢れているとも
哀しみで溢れているとも
起こっているのは確か。
ぼくが出している時に世界で出ていることは確か。
そしてぼくは役目を果たした放出器官をしまいこみチャックを上げる。
この時同時系列で世界のどこかで大きな何かが終止符を打ったのは確か。
それが悦びで溢れていようと哀しみで溢れていようと。
ぼくは洗面台から放出される水で手を浄め
けつポケットに忍ばせてあったハンカチで
手を拭う。
それは何事もなかったかのようだ。
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