11月2日(金)
ここで今回のガイドさんの一人と合流した。
プラミラさんという若くて小柄な女性だ。
ルクラからはもう一人、チャンドラさんという男の人が付いてきてくれている。
ほかにポーターさんが二人。
だからこの先、わたしたちをサポートしてくれるネパール人は4人だ。
ガイドさんはふたりとも知識と経験が豊富そうだし、ポーターさんも体力ありそうで優しそうな人たちだ。
今日はナムチェバザールに留まる。
とはいえ、寝転んでいるわけにいかない。
高度順化のためエベレストビューホテルまで往復する。
エベレストビューホテルは日本人が建てた高級ホテルだ。
ナムチェバザールの上、3880メートルのところにある。
8時15分、街の急坂を登って、そのまま尾根筋のトレイルルートに取り付く。
トレッカーが列をなして登っている。
急な登りが終わると視界が広がる。
丘の上に手前のホテルが見える。
エベレストビューホテルはそこから20分、なだらかなお散歩道を行ったところにあった。
世界でいちばんエベレストに近いホテルだ。
エベレストは見えなかったけどローツェがきれいだった。
のんびりとお茶を飲んで過ごす。
登ってきた道を引き返す。
ロッジに戻ったのが12時20分。
ランチのあとはナムチェバザールを散歩した。
ヒマラヤの山奥にオアシスのように街が広がっている。
銀行の支店があってATMが可動している。
小さいけれどスーパーマーケットがある。
バーは24時間営業だ。
以前はネットカフェがたくさんあったけど、今はフリーのSIMカードを売る店ばかり。
スマホが普及したからなあ。
道を歩いているのは欧米系の白人ばかり。
みんなエベレスト観光のトレッカーだ。
カフェがあったので店内に入りケーキセットを注文する。
ロンドンかパリにでもいるような気分。
でも外を見ると、自動車など走ってなくて、かわりに牛や馬が糞をしながら荷物を運んでいる。
ちょうど今日はローカルマーケットの開催日だった。
こちらは地元の人ばかりが買い物をしている。
値段もスーパーマーケットの数分の一。
これから先のトレッキング中のビスケットなどを購入する。
ということで、楽しい休養日だった。
明日からは4000メートルを超える。
11月3日(土)
7時30分、ナムチェバザールを出発。
エベレストを見ながら渓谷沿いの水平道を歩いていく。
最初の集落であるケンジョマのロッジでティータイム休憩。
そこからすぐに分岐がある。
エベレスト街道とゴーキョへ行く道が分かれている。
大半の人たちはエベレストの方へ向かう。
タンボチェからカラパタールを通り、最後はエベレストベースキャンプに到達する人気ルートだ。
わたしたちはゴーキョの方へ登っていく。
突然に人通りが少なくなった。
ちょっと急な上りを我慢して歩いていく。
11時30分、モングに到着。
ここが3980メートル。
ちょっとお茶を飲んでから、300メートルの下りを歩く。
フォルステタンガは12時50分に着いた。
3680メートルで、川のすぐ近くにある。
ここのロッジで宿泊してランチとディナーを食べた。
どちらもフライライスにしたけど、どうも油が身体に合わなかったのだろう。
ひどい下痢になってしまった。
これからどうしようか真剣に考えながら朝を迎える。
11月4日(日)
7時30分、フォルステタンガを出発する。
お腹の調子は悪いけど、ほかは元気だ。
まあなんとかなるだろうと思い、みんなについていく。
今日は、昨日降ったぶんだけ登り返す。
ゆっくり休憩をはさみながら600メートルを上がっていく。
途中でなんか有名な滝があった。
飛沫が凍っていた。
ここまで来るとかなり気温も下がっているのだ。
だんだん斜面が緩やかになる。
景色が広がってくる。
ルクラからほとんど谷沿いに歩いてきて、ようやく広い尾根にたどり着いたのだ。
突然に道が回り込んでドーレの集落が現れた。
標高は4200メートル。
植物相も低灌木になってきた。
またロッジでティータイム休憩。
ここから先は急な斜面もない。
今日はあと200メートルも登ればおしまい。
下痢も小康状態だし頑張るぞ。
10時20分、ドーレを元気よく出発する。
歩きやすい緩斜面が続いている。
樹木も生えていなくて見通しがよく、はるか向こうのヒマラヤの山々もずいぶんと低くなってきた。
12時40分、ルーサに到着。
今日の予定はここから1時間ほどのマチェルマまで行くことになっている。
でも、数人が遅れている。
そういえばKさん、最近定年退職して死ぬまでにエベレストが見たい人だけど、だいぶ疲れていたようだけど。
ロッジでお茶を飲みながら1時間ほど待った。
Kさんたちがやってきた。
付き添っていた人たちによると、かなり高度障害が出ているようだ。
フラットな道を歩いていても立ち止まってしまう。
心臓に負担が行っているのだろう。
今晩はこのルーサのロッジで泊まることにする。
夜になった。
Kさんは食欲もない。
なんとかスープだけでも飲もうとしている。
ルーサの標高は4360メートル。
この高さで高山病になる人もいるのだなあ。
明日からどうするか協議する。
頂上に行くことは絶対に無理だ。
というか、早くKさんを降ろさなければいけない。
でもKさんも、せっかくここまで退職金の一部を使って来ているのだ。
エベレストもチラリと見えたけど、もっと近くで眺めたいのだ。
それからイギリス在住の男も風邪気味で降りると言い出した
ついでにわたしも下痢気味だということを公表した。
いつもの就寝時間が来ても結論は出なかった。
こういうのを侃侃諤諤というのだな。
話し合いは遅くまで続いた。
この日記も、続く。
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