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2018年06月23日11:15

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蘇りし天使たち〜ベツレヘム生誕教会修復事業の軌跡〜

の特別講演会を聴いてきた。
大学施設にベツレヘムの生誕教会の修復事業について資料を展示し、それにあわせて実地の作業に参加している研究者によるギャラリートークが行われた。
これは国士舘大学のイラク古代文化研究所の事業として行われているものであり、今回の特別講演会は、現地で修復作業の中心に居る、修復技術の会社である ピアチェンティ社の修復士を招いて行われた。
https://www.kokushikan.ac.jp/event/details_11631.html
http://www.kokushikan.ac.jp/research/ICSAI/news/details_11785.html

この展示企画担当によるギャラリートークは、5月14日、6月11日に開催され、7月9日に最後の「イエスは馬小屋で生まれたのか?」まで行われる。
最初の5月14日に行われた第一回のギャラリートークに関しては当日の日記に書いている。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1966573574&owner_id=1673188
6月11日のは時間が取れず行かなかったが、最後のはぜひ聴きたいと思っている。

今回の講演では、ギャラリートークに使用していた小教室ではなく、階段状の大教室が用いられて…場所が変わったので迷ってしまった。(-_-)…人数もかなり多い。

講師はマッテオ・ピアチェンティ氏、修復士だが画像処理関係のスキルを持つ。
他にもう一人のピアチェンティ氏と、写真家のヒト、そして修復士で通訳の佐々木愛子さん、そしてギャラリートークの方の講師の江添氏が話す。
とは言え、マッテオ氏などのイタリア人が話して、通訳の佐々木氏が翻訳するという流れなので、そう多くは語れない。そういうワケで最初に十数分の日本語字幕入りのビデオを流し、そのあと特筆すべき、あるいは最新の情報についての写真を示しながらの解説となる。また、会場には歴史遺産の修復に携わる専門家や、研究者が多く参加しており、こうした人々による的確な質疑も行われた。

ベツレヘム生誕教会のなりたちについては、私の5月14日の日記の方を参照されたし。
今回は、修復の中心になるモザイクの修正プロセスについて詳しく解説があった。例えば制作年代に合わせた素材が使われるなどというコトと修復の基本的ポリシーについて。
まず第一に最も大事であることは遺跡に敬意をもち、すべてが保存されるように取り計らうこと。修理に用いる材料は元の材料と異なるものを用い、修復箇所が分からなくならないようにする。修復材は、後年固着しないでいつでも除去できるようにする。修復は遺跡に負担がかからないことが最も求められる。依頼主…教会の管理者は、信仰上も観光としての配慮としても、欠けのない結果を求めるが、大きな欠損を想像で修復したり、修復により遺物自体にダメージが与えられる場合はそれを行わない。
そういう意味において、モザイクのひとつのピースをテッセレというが、それを分析することにより、欠損したテッセレを制作時に採掘されたのと同じ場所から新たにとってきて、作ることは可能であるが、また当時と同じ制作方法もとれるが、遺跡自体に散らばっているテッセレ以外を遺跡のモザイクに戻すことは許されない。
…美術品の修復とは若干趣が異なるようだ。…聴いててそれが唯一の正しい方法だと思えてきた。
ちなみに遺跡には十字軍時代の兵士による落書きなどがあるが、これも保存される。
50年より昔の落書きは保存対象だそうな。無論、今書かれた落書きは即刻消すが。

他に興味深い話と言うと、屋根を支える石柱の一番上のブロックとの間に鉛の板が挟まれてて、これが耐震構造を担っている。地震対策は…わりと地震の多い地域であるため、他にもいろいろ行われており、何より紀元600年から千数百年倒れずに残っているのが何よりの証拠と言うわけだ。…つまり、それらの技術は初めから用いられていた。恐るべし古代ローマの技術。日本の五重塔の免振機構がスゴイとか言って悦に入ってる場合じゃない。どこの文化でもその程度のものは何かしらあるものだ。…だが古代ローマは別格だ。そののち失われることになるが。

まだ修復は終わってないが…ある程度終わったら、ぜひまた見に行きたいものだ。
連絡してくれたら、修復現場を見せてくれるそうである。w
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