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2018年05月14日23:18

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蘇りし天使たち

〜ベツレヘム聖誕教会修復事業の軌跡〜@国士舘大学・イラク古代文化研究所展示室
展示企画担当によるギャラリートーク・その1「ベツレヘム聖誕教会の歴史」
を聞いてきた。なお、
その2は6月11日「世界遺産としてのベツレヘム聖誕教会」
その3は7月9日「イエスは馬小屋で生まれたのか?」
という予定になっている詳しくは以下のHPにて。
http://www.kokushikan.ac.jp/att/11631_185779_010.pdf

小田急線の梅が丘にある国士舘大学の地域交流センターにて。
ほぼ40人入る会場がいっぱいになってた。
講師は、江添誠氏 プロフィール https://researchmap.jp/macezoe/
ローマ史、キリスト教考古学、あたりが専門。

話の最初にクリスチャンの人手をあげて〜とやったら、半分以上かな。
まあ、ごく近所のヒマ人を除けば、この話に興味があるのはクリスチャンだよね。
1時間(早口なのでかなり内容はみっちり)が終了したあと、2F展示室のパネルの前で詳しい解説もあって、時間も予想外にかかったけど価値ある話をきけた。

話は最初に、学問的な用語におけるパレスチナ地域。ローマ帝国の東部分…ゴラン高原とガリラヤ湖〜ヨルダン川〜死海、エルサレムとその周辺。という概略の地図が示される。
現状、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地とされている地域であり、政治的にも複雑な状況となっている。
考古学的な調査や遺跡の修復などの作業もたびたび戦乱により影響をうけている。
彼は最初、ガリラヤ湖畔の遺跡を調査するチームに加わっていたが、これが旧約時代の遺跡であったため、ゴラン高原の遺跡調査へ移った。ここも世界遺産候補となるほどの遺跡だという。ガダラの豚の悪霊の奇跡のあったトコ。ゲルゲザ

それから、ベツレヘム聖誕教会の修復へはいる。
ベツレヘムはエルサレムから8キロくらい。路線バスで30分くらいかな。
ゲートがあり、イスラエル人は入れない。外国人は通れるが国籍によって対応が異なる。日本人はだいたい大丈夫。いわゆる壁の向こう側だ。
ゆるやかな丘の頂上にさしかかるところに建っている。
イエスが生まれた馬小屋があったところというわけだ。

その馬小屋の上に教会を建てたのは、コンスタンティヌス帝。西暦313年にミラノ勅令を発し、キリスト教を公認のものとし迫害の時代を終わらせた。そして333年に聖誕教会の建設が始まった。6年で完成。529年にサマリア人の反乱により焼失。その後の発掘により、当初からモザイク画が存在していたことが確認されている。

531年にユスティニアヌス帝により再建。レイアウトに大きな変更は無いが、生誕の洞窟のある部分に円形ドームを作ろうとしてとん挫。当時の技術力が不足していたため。
代わりに3か所に半円形のアプスをつける。

617年にササン朝ペルシャのホスロー2世による侵攻をうけるものの無傷。伝承では聖誕教会の中のマギ(3博士)の服装がペルシャ風だったためとか。
1099年、第一回十字軍の指導者の戴冠式に使われる。教会内はモザイクで装飾される。また、要塞化もされた。
1847年ベツレヘムの星(イエス誕生の場所を示す印)盗難事件。教会内のモザイクがはがされ、エルサレムの建物に使われたりした。…転用されたのを見た記憶があるが何の教会だったけかな…
その後…いろいろあって現代にいたる。
2002年にパレスチナゲリラの立てこもり事件発生。

さて、表題になっている蘇りし天使だが、これは窓と窓の間にあった漆喰をはがしてみたら出てきた古い時代のモザイクだ。
古い時代のモザイクは、ひとつのピース(名称失念)が1センチ立方くらいですべてが天然石だ。それぞれの色は石そのものの色であって、色合いはそういう制限による。
後で実物を触らせてくれた。
また、金色のモザイクは、ガラスのブロックの間に金箔を挟んで焼成することで作られる。これらのモザイクは壁に対し平行に並べられるのではなく、差し込む光と見る人の位置を勘案し、角度をつけて貼り付けられている。また、修復でモザイクを並べてみても現代の修復技能者の技術では微妙に歪んで子供の絵になってしまうようで、当時の職人の技術力がとてつもなく高いものであったコトがわかったらしい。実際の修復ではモザイクは直さず、漆喰に塗料を塗っている。これは手抜きではなく、後世の修復が明らかに分かるようにするため。
同様に、会堂の屋根に葺いていた鉛の板も、樹脂コーティングしたものに変えたり(毒性の問題)、屋根を支える木材も古材を残しつつエポキシ樹脂と鉄骨を埋め込んだ修復材を継いだりして強度を確保している。耐震性とかのため。
単に観光地として、昔と同じに修復するわけでもなく、外観だけ似せているわけでもない。目的は古代遺跡を保存し、後世にできるだけそのままの形で残すため。
ただ、倒壊を防ぐのはもちろん、見学者の安全は守られなければならない。

そのあとで、没薬と乳香の匂いをかがせてもらったりして、経験値も上がったし。
後のギャラリートークもできるだけ出たいと思う。

ちなみに、ここに来ているクリスチャンは梅が丘教会の人も居るんでないか。…と後で思った。実は梅が丘教会の現牧師は、ワシの行ってる教会の前任牧師だ。アネモスさんの聖書神学校の同級生でもある。今度のギャラリートークのときに聞いてみよう。w
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