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2018年03月18日22:57

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トゥガン・ソヒエフ トゥールーズ・キャピトル国立管 エマニエル・パユ

指揮:トゥガン・ソヒエフ
フルート:エマニュエル・パユ
管弦楽:トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」 序曲
ハチャトゥリアン(ランパル編):フルート協奏曲
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」(抜粋)

3月16日 ハーモニーホールふくい

例によって、バックシート。
ちょうど、ハープ奏者の後。ハープの左隣はホルン。
狙いどおり、ホルンの音はばしばし聴けそうな席。

オーボエの若い奏者がステージ上でハチャの演奏をさらっていた。
木管奏者がそろそろとステージに入ってくるけど、みんな若い。
女性はパンツスーツ姿が多い。

コンマスは黒っぽい縁のメガネをかけたサラリーマン風の若者。

ソヒエフ登場。
ルスランとリュドミラの序曲は、ロシアオケでよく聴いている。
早すぎない演奏。金管や打楽器を目だたせていない、バランスのとれた演奏。
ホルンやら結構、演奏者が入れ替わる。ハチャ・シフトか。
でも、日本の演奏者が仕出しで入ってはいない。

フルート協奏曲。ハチャトゥリアン!
ヴァイオリン協奏曲をフルート用にしたもの。
ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲は、コーガンとロシアのオケの昔の演奏を聴いているが、パンチのある作風で、これがフルートでどうなるのか、と思う。

なんと、パユは、楽譜の代わりに、タブレット端末を置いていた。
一定の速度で譜めくりしてくれれるようにセットしてあれば、確かにこれはいい。
さすがは、ベルリン・フィルのメディア担当役員(インターネット配信等)を務めた人だけはある。
若い頃、アバド指揮のベルリン・フィルでよく見たのだけど、今はいい感じに老けていて、ロジャー・ムーアか、セバスチャン・コッホか、という感じ。ちょっとぽっちゃりだけど、ステージ中央に上がるときのフットワークも軽い。

第1楽章。出だしはあれっ、ちょっと音の出がよろしくないんじゃない、という感じだったが、ソヒエフが結構フレーズによってオケの音量を調整していたこともあり、すごくまろやかに、しかもハチャトゥリアンらしい民族的な色彩も備えた演奏に。
第2楽章。なんとも艶めかしいフルートの音色。
ソロの時に、ソヒエフはパユの顔をじっと見つめている。
第3楽章。フルートの休みがないくらい。吹きっぱなしなのに、全く乱れない上に、パワーが増している。圧巻の演奏。

演奏終了後、ソヒエフとパユは抱き合う。
アンコールは、グルック:精霊の踊り。
聴いたことがある曲だった。

さて、白鳥の湖。
演奏曲は次のとおり。
   第1曲 情景 (第1幕)
   第2曲 ワルツ (第1幕)
   第10曲 情景 (第2幕)
   第8曲 乾杯の踊り (第1幕)
   第13曲-4 4羽の白鳥たちの踊り(第2幕)
   第13曲-5 パ・ダクシオン(第2幕)
   第20曲 ハンガリーの踊り(第3幕)
   第21曲 スペインの踊り(第3幕)
   第22曲 ナポリの踊り(第3幕)
   第23曲 マズルカ (第3幕)
   第28曲 情景(第4幕)
   第29曲 情景−フィナーレ(第4幕)

ソヒエフは、最初指揮棒を持つような仕草をしたが、指揮棒を持たずに指揮をしていた。
その指揮の姿は、決してカッコよくない。
必ずしも拍子をとらない。
よくわからないジェスチャーで各パートに指示を出している。
盛り上がるところも全く表情がかわらない。
おっさん、ふざけてるのか、とも見えてしまう。

でも音楽は、極めて滑らかでしなやかで、きらびやかで、優雅だった。

結構、弦楽器を抑えめにしていたり、低弦に力を入れていたり、どこかのパートが突出して聴こえるようにはしておらず、ハーモニー重視の演奏だった。

白鳥のテーマを独奏するオーボエは、やはり練習していた若手の人で、美しかった。
ハープの独奏の場面、ソヒエフがハープに向かって、最後の旋律のキューを出す。その仕草が、ハープの音とぴったりシンクロしていて、ぞわぞわーとすること、1度ならず。
やはり並の指揮者ではない。

ホルンの弱音がすこぶる美しい。弱い音なのに、にごりもない。ホルンの首席は実にそれっぽい風貌のおじさんだった。
打楽器の背の高いおじさんは、長い白髪でいかめしい顔つきで田中泯のように雰囲気のある人だった。

4羽の白鳥、ファゴットではなくバソンだという説もあるが、奏者は2本持ち込んでいた。どちらの音色かよくわからないけど、フランスのオケは木管の音がいい。

フィナーレの盛り上がり。圧倒的感動。チャイコフスキーの音楽は何もしなくても感動的だというような、テンポを変えることもなく、沸き立ってくる高揚感がすばらしい。

アンコールは、
ビゼー:オペラ「カルメン」から 前奏曲

早めのテンポで流麗な演奏だった。

CDを買うとサイン会に参加できたが、ほしいものが安くなかった。
ソヒエフを間近で見たが、いい男である。
頭は薄いが、おっさんではない。まだ40歳。おそるべし。
ボリショイの音楽監督だし、まだまだ活躍の場を広げそうだ。

あの不思議な指揮ぶりが気になって探してみたら、
楽団公式のYouTube動画で
2018年のニューイヤー・コンサートがまるまる掲載されている。

最初の「眠れる森の美女」、
途中でサンサーンスの「サムソンとデリラ」「バッカナール」という爆音系の曲が用意されている。
でも、いちばんの聴きどころは、「威風堂々第1番」だったかもしれない。



この人の指揮は小手先ではないところが感じられる。
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