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2017年09月28日09:35

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声劇台本を作成しました!「卒暁慮考(そつぎょうりょこう。)。」 ―後編。―

「卒暁慮考(そつぎょうりょこう。)。」 ―後編。―



※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。

自作発言は厳禁です。 ※




使用許可はtwitterの@annawtbpollylaまで。相互フォロワーさんは許可不要。




【想定時間。】

前後合わせて45分くらい?


【想定人数。】

男女→1:4





【登場人物。】

鎖鳥…最近になって自由を謳歌し始めた女性。読み方はさとり。

雪那…『小幸(さゆき。)』という苗字を持つ。就職に苦労した女性。読み方はせつな。

燦花…卒業旅行を一番楽しみにしていたかも知れない女性。読み方はさんか。

月夜…卒業旅行に楽しみと若干のもやもやを抱える女性。読み方はつくよ。

浦風…ある意味で一番馬鹿かも知れない男性。読み方はうらかぜ。






【設定。】

「二方美人。」http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958862956&owner_id=24167653 のスピンオフであり、
その作品の中に登場するキャラクター達が卒業旅行に行くお話です。
なお、「二方美人。」の他に、同スピンオフ作品を知っていると、より話が分かりやすいかも知れません。

最低限、それらの作品を知っていなくとも

『鎖鳥と雪那と燦花』という仲良しグループと『月夜と燦花』という仲良しグループが別々に存在していて、また『月夜と浦風』は中学からの友達であるという事、そして燦花の事を残り4人が別々に助けようとした事がきっかけで燦花を中心に残り4人が知り合い、一緒に卒業旅行に行く事となった。

程度に思ってくださればそれである程度大丈夫です。




※「二方美人。」シリーズ及び関連作品のみをまとめたリンク。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653




(※1 この台本は、他の台本でも同様の事が言えるものの、特に笑い方に大きな意味がありますので、できる限り台本の文面に忠実に笑うよう、お願します。なお、『くくく』と『くっくっく』は別の笑い方として設定しています。)






【本編。】


雪那「お布団、こんな感じで良い(いい)のかな…。」

鎖鳥「良い(いい)んじゃないの。」

月夜「私のは」

鎖鳥「やり直し。」

燦花「んぅ…。ん。…あれ。おはよう。」

鎖鳥「あ、起きた。早く布団片付けて出ていく準備するよ。今日は記念碑とか見に行きたいんでしょ。」

燦花「記念碑…楽しみ…。」

月夜「私も楽しみだ…。あの記念碑が見たくて旅行先をここにしたのだからな。」

燦花「ふふ…。…あ、今は何時?」

鎖鳥「8時半。」

燦花「え。」

雪那「やっぱりもっと早く起こした方が良かった…?」

鎖鳥「あんな気持ちよさそうに寝てるのを起こせる人は居ないよ。」

燦花「…違うの。普段は早く寝て早く起きてて、だけどほら、せっかくの卒業旅行で、その、慣れない夜更かしなんてしたから」

鎖鳥「分かったから準備しようね。朝ごはんの引換券、9時半までしか使えないよ。」

燦花「はぁい。」

月夜「別に大丈夫だろう。時間に余裕はあるはずだ。」

鎖鳥「何なら計画は過密にしようと思えばいくらでも過密にできたけどね。」

燦花「えっと…。」

鎖鳥「櫛(くし)なら昨日洗面台の前に置いてたよ。」

燦花「そうだった。ありがとう。」

雪那「私も今朝同じことしてたんだよ。」

鎖鳥「持ってきても居なかった月夜よりはマシだけどね。」

月夜「宿泊施設というものには使い捨てのが部屋に準備してあるものでは…。」

鎖鳥「確認しないのが悪い以前にそもそもそんなもので済まそうとするのが更に悪い。」

燦花「…ところで鎖鳥(さとり)さん。朝から鎖鳥さんから良い(いい)香りが。」

鎖鳥「誰も起きてなくて暇だったから皆が寝ている間にお風呂に行ったんだよ。…予想以上に皆が長く寝ていたせいで締め出されたけどね。」










鎖鳥「…13時45分。注文したのが来て食べ終わる頃には14時半前後くらいかな…。まあ、出発が遅れた上に思った通り記念碑やその公園付近が混んでいた割には予定の範囲内で収まってくれてるか。」

燦花「それでね、あの記念碑は本来作られる予定はなかったんだけど…。」

月夜「そうなんだ。その時外部からの要請が…。」

雪那「…。」(苦笑。)

鎖鳥「二人ともあの記念碑の話になると本当に止まらないね。」

雪那「あはは…。」

燦花「ねえ、あの記念碑、お昼ごはんを食べ終わったらまたもう一度見に行かない…?」

鎖鳥「燦花(さんか)。今日を全部記念碑を見るのに使う気?」

燦花「そんなことはないけど…でも本当にもう…。」

月夜「私ももう一度見たいな…。やはりあれは、こう…。」

燦花「私も月夜(つくよ)さんもあの記念碑をずっと楽しみにしてて、だから…。」

鎖鳥「分かったよ。…でも、そんなに好きなのに写真とかは撮らないんだね。」

月夜「私は何枚か撮ったぞ。」

鎖鳥「撮ったと言うか撮って貰ってたね。」

燦花「写真で見る分には別にそれこそ調べればいくらでも出てくると思うし…実物を見ることに意義があるの。」

雪那「でも、せっかく来たのに触っちゃいけないのはちょっと残念だよね。」

燦花「うん…。仕方がないことだけど、本当なら触りたいのはあるかな…。」

鎖鳥「はいはい。私は今のうちに飲み物取ってくるけど、みんな希望はある?」

雪那「あ、えっと…お茶で。」

燦花「たしかオレンジジュースあったよね。それでお願い。」

月夜「なら私もそれで。」

浦風「俺は温かいお茶を頼む。」

鎖鳥「了解。誰か一人手伝いに来て。」

雪那「私が行くよ。」



燦花「それでね。せっかく記念碑を見に行くんだし、本当は色々そういうグッズも持ってこようかとも思ったんだけど失くしそうだったから…でもやっぱりこの眼鏡だけは持ってきたよね。」

月夜「その眼鏡、私も欲しかったのだが当たらなくてな…。鎖鳥と雪那(せつな)が許してさえくれれば、近くのお土産屋さんを回って何かそういう物も買って行きたいのだが…。」

浦風「他の普通のお土産も売っているのなら、別に反対されないんじゃないのか。」

月夜「そうか?…そうだな。うむ…。反対されるのが怖いが帰ってきたら提案してみよう…。」

燦花「自由行動の時間を作れば一番かんたんではあるけど二人とも心配性だし、そうでなくても普通に危ないからね。」

月夜「ああ、そうだな…ん?浦風(うらかぜ)どうした。」

浦風「いや。お茶の種類を指定し忘れた事を思い出しただけだ。さして問題はない。」

燦花「あ、そっか…。浦風君は確か麦茶が好きだったよね。」

月夜「…なんでそんなことを知っているんだ?」

燦花「?…この前みんなで一緒に遊んだ時にも麦茶を選んでたし、大学でも麦茶を飲んでたからだけど。」

月夜「あ、ああ。なるほどな。」

浦風「別に緑茶や烏龍茶が嫌いなわけでも無いがな。」

月夜「そうだな!お前は昔からそうだった!」








浦風「…ごちそうさま。」

月夜「ごちそうさま。」

鎖鳥「これで全員食べ終わったね。…それで、お土産見に行くんだっけ?良い(いい)けど荷物になるから買い終わった後一回ホテルに戻るよ。」

燦花「お願い…。」

月夜「後生だ。」

鎖鳥「良い(いい)よ別に。雪那も良い(いい)?」

雪那「うん。大丈夫。」




燦花「月夜さん、見て見て!この色鉛筆…。それに下敷き。」

月夜「すごいな…!どうしよう、全てがすごい。限定版のものではないものの一応眼鏡もある…。夢の国だな。ここは…。」



雪那「二人とも輝いてるね…。特に燦花さんがあんなにはしゃいでるの見るの初めて。」

鎖鳥「記念碑関連の物の特設コーナーがこれだけ広いって事は、本当に人気なんだろうね。私にはさっぱりだけど。」

雪那「そうだね…。」

鎖鳥「聞いてなかったけど、君もああいうの好きなの?」

浦風「凄いとは思うが現状別に。」

鎖鳥「ふぅん。…ま、あまり離れないように見張りながら私達も自分たちのお土産を見て行こうか。」




鎖鳥「…まあ、家族にはこれで良い(いい)かな。」

雪那「おせんべい?」

鎖鳥「日持ちもするだろうし、私が作った事も無いし。」

雪那「鎖鳥さんが作ったことがないから…?」

鎖鳥「私が作ってあげた事のある物と同じような物の既製品を家族達が美味しそうに食べている姿を想像するとイライラしてくる。」

雪那「あはは…。じゃあ私は鎖鳥さんの前でお店の中華料理食べられないね。」

鎖鳥「そうだね。…そろそろ別のも作ろうか?」

雪那「良い(いい)の?」

鎖鳥「最近ようやく、いくつか四川(しせん)料理以外でも自信のついてきた物が出て来たから。今度カステラでも作ってあげるよ。」

雪那「ありがとう!」

鎖鳥「これで雪那は私の前で既製品のカステラは食べられなくなる。と。」

雪那「楽しみだなあ。」









燦花「…。」(寝息。)

月夜「…。」(寝息。)

雪那「…。」(寝息。)

鎖鳥「…どんだけはしゃいでんだか。…ちゃんと夜寝られるかな。」

浦風「起こすか?」

鎖鳥「まだホテルまで2駅あるし、もう少し寝かせる。」

浦風「予定を変更して、着いたらそのまま休むか?」

鎖鳥「そうした方が良い(いい)だろうね。」

浦風「お前も眠いだろう。」

鎖鳥「そうだね。もし私がどこまでも能天気な性格をしていたらここに四人とも寝ている光景が誕生していたところだ。」

浦風「だろうな。」

鎖鳥「というか君は眠くないの?」

浦風「問題無い。」

鎖鳥「ふぅん。もし強がりなら今からでも代わりに立とうか?」

浦風「…構わないがありがとう。」













鎖鳥「はい、開いたよ。お疲れ様。」

月夜「ようやく着いたか…。」

燦花「重かった…いつの間にこんなに体力がなくなってたんだろう…。」

鎖鳥「二人とも買いすぎたからでしょ。明日、帰りは途中まで少し持って貰ったら?」

燦花「悪いよ…。」

月夜「多分持ってはくれるだろうがまた恨み言を言われるのだろうな…。ともかく、私はもう寝る…。」

鎖鳥「そうだね。もし皆賛成なら…まだ夕方前だけど、着替えて電気消して本格的に寝る?」

雪那「でも今夜寝られなくなるんじゃ。」

鎖鳥「寝られる寝られない以前に、どうせ今日も夜更かしするんでしょ。…明日辛くなりそうだけど、何人かくらいは新幹線の中で寝てても大丈夫だよ。」

雪那「そうなのかな…。」

月夜「だめだ…もう限界だ。お布団出してくる…。」

燦花「ちゃんと着替えてからね。」









燦花「あ、お外に居たんだ。」

浦風「…とにかく暇だったので。」

燦花「私も暇なんだぁ。みんな寝ちゃってね。私も寝ようかと思ったけど寝られなかったから。」

浦風「難儀な事で。」

燦花「どこに行くところだったの?」

浦風「道に迷わない程度に、その辺りの散歩でも。」

燦花「そっか。付いて行って良い(いい)?」

浦風「…。」

燦花「?」

浦風「燦花が良ければ。」

燦花「なら行こっか。」

浦風「…。」

燦花「…。」

浦風「…確か近くの小さな公園にベンチが」

燦花「それならそこに座ろっか。」

浦風「…。」

燦花「…。」

浦風「…。」

燦花「…良かった。空(あ)いてる。座ろ。」

浦風「そうだな。」

燦花「…ずっと考えてたんだ。」

浦風「ええ。」

燦花「…もしかして、言いたいの我慢してることがある?」

浦風「…それはどういう意味だ。」

燦花「月夜さんが何かの時に言ってたんだ。浦風君は昔はもっとお節介な人だったけど、今では自分は親切じゃないみたいなことばかり口にするようになった。って。」

浦風「…そうかも知れないな。」

燦花「それで、たまに言ってたでしょ?『周りが助けたくなるだけの準備。』…みたいな感じのこと。」

浦風「…。」

燦花「もしかしたら、月夜さんの知らない高校生の頃に何かあって、それと『準備』というのが、何か関係していて…それで、それについて何か言いたいけど我慢してることがあるのかなって思って…。」

浦風「…どうして。」

燦花「…何かを言いたい気持ちを抑えながら、でもやっぱり言いたいからって…相手から聞いてくれるように仕向けるために色々やってみたり、それがあまり露骨すぎるとまた迷惑をかけるからって、余計と分かりづらいことに走ってみたり…。そういう経験が私にあったから。もしかしたらそうなのかもと思ったの。それで、もしそうだとしたら、すごく苦しいだろうなって…。」

浦風「…。」(溜息。)

燦花「…。」

浦風「話すのが遅くて…加えて、長くても良ければ…。」

燦花「うん!」

浦風「悪い…。」

燦花「あ、でも長くなるなら、あの自動販売機で飲み物買ってきて?温かいお茶なら何でも良い(いい)よ。」

浦風「…(微笑み。)。はい。ただ一応付いて来てください。」





浦風「ふぅ。」

燦花「それではあらためて。」

浦風「…(一口飲む。)。…そうだな。…先程の話…『助けて貰えるだけの準備。』の話を詳しく言うと…。もし、時折周りの助けが無ければ難しいような事に直面すると言うのであれば…つまるところ、一人で生きて行くのが難しいのであれば、その助けが必要な程度…難しさや頻度等に応じて、『この人の事は、いざという時助けたい。』と周りに思って貰えるような準備を普段からしておくべきで…。」

燦花「…。」(微笑み。)

浦風「…例えば、人によっては、その時その時専門家にお金を出して助けて貰えばそれで良い(いい)としても…。特に内容も難しく、また助けて貰う相手を選びたく、更に助けの継続性も求められるような案件については…勿論助けられる人間の数は限られ…にも関らず、それは一人二人の手に負えるものでもなく…。」

燦花「うん。」

浦風「だから、きちんと助けて貰ってその案件を乗り越える為には…普段からより多くの人間に、より強く『いざという時に助けたい。』と思って貰えるようにしていなければならない。…だと言うのに…それを…。」

燦花「…(一口飲む。)。うん。」

浦風「……。」

燦花「言って良い(いい)んだよ。」

浦風「…それを怠った結果、有効な助けが足りなく…その結果、酷い目に遭うのは…その準備不足が招いた事で、仕方のない事。半分は自業自得…。…俺の、『助けて貰えるだけの準備。』とは…そういう意味。」

燦花「…きっと、いっぱいつらかったんだね。」

浦風「…。」

燦花「多分、よくがんばったんだろうね。…でも、分かってるよね。」

浦風「…ありがとう。…これは全部正しいわけじゃない。」

燦花「うん。どういたしまして。」

浦風「…反対に。」

燦花「反対に?」

浦風「反対に…。きっと…その準備が普段から整っている人であれば…きっと、どこで何をしていようとも、そこで周りの人に助けて貰って…。」

燦花「…(微笑み。)。多分、何があってもだいじょうぶだろうね。」

浦風「…(微笑み。)。どうも。…そうだ。その、どこかに居る人…高校一年と三年の時の担任の先生。漢字は違えど同じ『さんか。』という名前で。」

燦花「へえ、すごい!どんな字を書かれる方なの?」

浦風「散らす香りで散香(さんか。)。」

燦花「かっこいい名前!」

浦風「苗字は幽霊の谷で幽谷(ゆうこく。)。」

燦花「あ、それ鎖鳥さんの苗字と似てる。」














燦花「…。」(寝息。)

雪那「…。」(寝息。)

鎖鳥「…。」(寝息。)

月夜「…こうなったわけか…。」

浦風「その三人の荷物、ちゃんと見ておいてやれ。」

月夜「お前も手伝うのだぞ、浦風…。まったく。」

浦風「…。」

月夜「…しかし、もう帰りの新幹線の中とは。あっという間だったな。」

浦風「そうだな。」

月夜「楽しかったか?」

浦風「そうだな。…楽しかった。お前は聞くまでも無く楽しそうだったな。」

月夜「一応聞きはしたが、私だって聞くまでもなく分かっていたのだぞ!?お前はこの旅行中、いつもよりもよく喋っていたからな!今だって普段なら『そうだな。』だけで終わっていたであろうところ」

浦風「起こさないようにな。特に通路を挟んでも居ない小幸(さゆき)さん…雪那さんを。」

月夜「…わるい。」

浦風「それで。」

月夜「さっきだって普段なら『そうだな。』だけで終わっていたであろうところ、二言
(ふたこと)も付け足してだな。機嫌が良い(よい)証拠だ。どうだ言い返せまい。」

浦風「…そうか。…ところで悪いが、誰かが起きたら俺も寝て良い(いい)か?」

月夜「なんだと…。」

浦風「流石に疲れた。」

月夜「そうか…。なんなら今からでも寝て良い(よい)のだぞ。」

浦風「お前が暇になるだろ。荷物番も一人だと心配だしな。」

月夜「…分かった。」

浦風「どうした。」

月夜「何でもない。」

浦風「…気持ち悪くなってきたのなら、あの飴がまだあるが。」

月夜「…本当に用意が良い(よい)な。」

浦風「そもそも行きでお前が酔わなかった方が意外だったくらいだからな。」

月夜「くくく…。勝手なイメージを押し付けてくるやつめ…。」

浦風「イメージではなく事実において、お前は中学の修学旅行で、バスの中ですら酔ってただろう。」

月夜「…くくく。」

浦風「荷物は見ているから目を閉じてろ。」

月夜「………恩に着るぞ。馬鹿め…。」

浦風「…。」

月夜「…ありがとう。」

浦風「おやすみ。月夜。」



― 完。 ―
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