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2017年07月18日06:08

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『夏の娘たち ひめごと』


 私は製作費100億円超(日本円換算)の映画も観に行くし製作費10万円の映画も観に行く。これらを同じ土俵の上に並べて語ってはならないぐらいのことは承知している。格闘技の体重別階級というのが近いかもしれない。ややこしいのは、10万円映画が100億円映画よりも感動が大きかったりする、ことも稀にあるということ。

 流儀というのか作り手のモラルというのか、カネ取って観客に見せるプロフェッショナルである以上、「お金がありませんので許して下さい」と、“あまり”云うのは卑怯である。けれども、観客の側も「みなまで言うな。分かっちょるわい」と、目こぼしを与えたりするのである。問題なのは、仮に過酷な製作条件であったとしても、最低守ってもらわねばならないその「限度」を下回ってしまったような場合である。

 撮影とか録音とか照明とか。

 意外と演技者が素人であっても、それは何とかなるものである。何とか演出するのが監督。しかし、スタッフのレベルの問題はどうにもならない。

 この作品の欠陥はそれだけではない。例えば、プロットそのものは認めるとしても、作品内時間経過の描き方の酷さはあり得ない。まるでひと夏の物語かのような題名だが、そうではなく、最低でも1年以上は経過している。とすると、数年にわたる夏の上田(長野県の)での物語なのだろうが、監督自らが行った編集のまずさもあって非常に分かりにくい。

 血縁地縁で結ばれた田舎の社会のなかで展開される『キスより簡単』のような(疑似)近親相姦の話かと思ったら、疑似ではなく、しかし深刻な話になるかと思ったら、基調は淡々さとエロ・官能とが交差しながら交じり合わない。そこが堀禎一(『妄想少女オタク系』を観ているが、アダルトからコミック、ラノベ原作、ドキュメンタリーまで幅広く創る人)の味なのだろうけど、しかし、短い作品がいいと公言している私だけど、これは75分でやる話ではないわ。コミカルなのかシュールなのか、整理できなさすぎ。

 でも、嫌いというわけでないのが、不思議。。


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