ブリューゲルの「バベルの塔」が見たい。
東京まで行こうか、大阪でもやるようだ、と、いろいろと思っていたところ
金沢21世紀美術館の「池田学展 The Pen ー凝縮の宇宙ー」を見に行って、
ああ、この人は、「バベルの塔」が好きなんだろうなあ、と勝手に思うとともに
ブリューゲルでなくても、
池田学はすばらしいじゃないか、と思うくらい、堪能した。
池田学の絵は、ペンで描いた細密画。
それが、バベルの塔のように、単独の被写体を中心にして描かれたものもあり
人、猿、熊、パンダ、魚、鳥 といった動物も細かく描きこまれていて、
更にメカニックの要素をも盛り込んでいる。
中でも「予兆」という作品は、津波によりひっくり返った街を描いているのだが、
2008年の作品であって
東北の震災よりもかなり前の作品である。
旅客機が突き刺さるところは2001年911の米国のテロなのかもしれないが
電車の車両がぶら下がっているところは、「シン・ゴジラ」(16)か、最初の「ゴジラ」(54)の
スチルのようでもある。
でも、それは破壊や崩壊といった負の感情ではなくて、
創造や展開といった正の感情に基づいた力強さにあふれている。
珍しい魚や動物を描いた絵に、想像の動物を描いた絵もあって、
それもまた、初期のウルトラ怪獣を思わせる雰囲気が漂っていて、モロ好みだ。
そういうところが、ブリューゲルに近いように思う。
一枚一枚の絵の情報量がすざまじくて、30分でも1時間でも見ていられる。
<21世紀美術館のWebサイト>
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1746
<『池田学展 The Pen -凝縮の宇宙-』が、2017年佐賀、金沢、東京を巡回。>
http://eirnavi.jp/en17001/
<池田学が明かす、桁外れな緻密さと圧倒的スケールで描く制作の裏側
金沢21世紀美術館『池田学展 The Pen ―凝縮の宇宙―』>
https://www.cinra.net/interview/201705-ikedamanabu
池田学のことばを聞くと、また見たくなってきた。
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