SFまで10000光年 水玉螢之丞、早川書房
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000012764/
昨年末に亡くなった著者の代表作ともいえるイラストエッセイ。文章はすべて独特の手書き文字で綴られていて、自分のような薄いSFファンには畏れ多いようなSFへの愛があふれています。
連載時にはあまりまともに読んでいなかったのですけど、Twitterでフォローしてみたらおもしろいおもしろい。一気にファンになりましたが、こんどは著書がみつからず。もともと連載は載せっぱなしでまとめるつもりはなかったようです。だからこの本もじつは著者の意向には反してるのかも。
初めて読んだのは『EYE-COM』に連載していた「こんなもんいかがっすかぁ?」。ああ、この人は絶対SFファンだと感じましたけど、今回『SFまで……』を読んでみるとファンなどという生やさしいものではありませんでした。ほんとにほんとに惜しい人を亡くしてしまったのですね(「ね」っていうな)。
あ、「ね」っていうな、とか、「みんなって?」というのはこの本にちょくちょく出てくるフレーズで、たぶん「安易に他人の同意を求めるな、おのれの信じる道を行け」てな意味合いであろうと想像。SF愛への矜持を感じます。
しかしそれだけに、1997年10月号のラストとかに「20年後にもおんなじこと言ってそーだけど」とあって、喪失感がまたひとしお……もっともっと言っててほしかったですよぅ。
ところで、猫耳の「新バージョン自画像」が初めて登場するのが1996年3月号で連載開始から3年2ヶ月後。三つ編みの「旧バージョン自画像」が最後に登場するのが1997年7月号で、1年5ヶ月は新旧両バージョンの混在期間。水玉さんといえば猫顔自画像という刷り込みがあるけど、ご本人はあんがい揺れてたのかも。
ログインしてコメントを確認・投稿する