「首相談話」

　小学校のクラスに５〜６人の悪ガキがいました。その中のボスが掃除当番の役割分担や遠足のメンバーの組み合わせ、運動会の八百長、おこずかいのカツアゲ、シカトの相手、体育館裏のリンチなど裏で仕切っていて、先生の指示で決めた学級委員の指示は表向きの「学級日誌」にしか残っていませんでした。クラスの子供はみんなこのボスのご機嫌をとり、毎日誰かがやり玉に挙げられても、見て見ぬふりをしてジッと「嵐が過ぎる」の待ちました。それでもこのボスがほかのクラスや他校の生徒と喧嘩をするときは、皆に命令して徒党を組んで戦うように指揮していました。ボスは時々下剋上が起き、交代していました。

　そんなところに体格の良いAが転入してきました。クラスの子供たちはAの頭の良さと体格の良さに、「友達になりたい」と思い近づこうとしましたが、ボス配下の４人は「新体制の確立」を許しませんでした。悪がきが築いてきた自分たちに都合の良い支配体制を新参者に奪われてたまるかと言う訳です。Aに対するいじめや暴力、シカトや嫌がらせが続き、とうとう喧嘩になりました。悪がきグループと新参者のAと若干の子分との「決闘」は熾烈でしたが、衆寡敵せず悪がきグループが勝ち、Aは厳しい制裁を受けました。Aの子分たちは「もともとの悪がきのパシリ」に戻ってボスのご機嫌をとり、「勝ち組」を名乗ろうとしました。

　問題はAの立場です。成績もよく力も強い。先生も応援してくれて学級の建て直しをする「正義感」溢れる闘士でしたが、喧嘩に負けてから以降どんなにひどい仕打ちを受けても「悪がきに逆らう事は悪いことだ」と思い込み、ひたすら謝り、決して口答えせず、宿題をしてあげたり、力仕事を代わってあげてみたりしてきました。ところがそれを見ていた嘗てのAの元子分たちもAに向かって「宿題をしてくれ」とか「力仕事を代わってやれ」と言い出して、「あの時お前に殴られた怪我のお詫びと弁償をしろ」と言うのです。「お前が俺の消しゴムやノートを取ったから取り返す」と言い出すのです。

　Aはこれまで「隠忍自重」してこらえにこらえて、「自分さえ我慢すれば」「謝ってさえおれば」悪がきと戦わずに平和に暮らせると思い込み、ひたすら「勉強」に励んできましたが、気持ちは「反撃」したい気持ちと、「このまま隠忍自重して二度と喧嘩はごめんだ」と言う気持ちで揺れています。この間ボスのところに行って「ボスの指示には全面的に賛成です」と忠誠を誓いましたが、ボスは「元の子分たちとも仲良くせぇよ」としか言ってくれません。Aは「憲法」で「もう絶対に喧嘩はしません」と言ってしまったので、Aの元子分たちも自分たちは喧嘩の準備を拡大しながら、Aには「喧嘩の準備をするのはおかしいじゃないか」と迫ります。

　ネットを見ていると、日本に反感があるのは中国と韓国だけで、東南アジアは親日国であるような書き込みが多くみられます。「親日国とだけ付き合えばいいじゃないか」と言う意見もあります。実際はそんな単純なものではありません。その昔、田中角栄さんが東南アジアを歴訪したときに、インドネシアなどで激しい反日デモに遭いました。なぜ今親日なのか？日本が中国や韓国に先駆けて、東南アジアに工場進出をして、繁栄の道を切り開いてくれたからであって、ODAを止めて円借款をストップすれば、すぐに「反日国家」に切り替わります。彼らASEAN諸国がじっと見ていたのは、日本が莫大な投資をした「満州、朝鮮、台湾」が戦後いち早く産業先進国入りをしたことを妬み「反日国家」だったものが、日本の「経済開発援助」で生活が一変したからなんです。僕が初めて１９８０年代にシンガポールに出張したときに、タクシーの運転手が「日本人のシンガポール占領はひどかった。男は殺され大半の女はレイプされた」と露骨に反感を示されました。

　反対に中国や韓国は日本の隣家です。「隣の芝生が青い」のを見せつけられ、国民からはいつも「政治家はどうして日本に負けるのか？早く日本を追い越し、アメリカと肩を並べるような国にしろ」と尻を叩かれ、やろうとしても「偽物つくり」しかできません。それなら「日本を奴隷にして、そこから世界一の技術を作らせて、自国に持ち込めば世界一になれるじゃないか」として、サイバーテロ、ハニートラップ、賄賂、スパイあらゆる手段で盗み出そうとする。その結果に文句を言わせないために「日中、日韓関係」を「中日、韓日関係」と言うふうに、「上下関係を逆転させる必要」から、シツコク「安倍総理談話」に「反省」と「謝罪」と「賠償」を要求します。日本を奴隷化するために必要なんです。ですから今年「反省、謝罪、賠償」しても、これから永久に「反省、謝罪、賠償」は続けることになります。

　それが分かっていながら、いくら中国や韓国からお金をもらった知りませんが、さもしい日本の元総理大臣が５人「日本は中国や韓国の奴隷になるべきだ」とわめき、韓国まで出向いて土下座をします。「そんなことはしたくない」と安倍総理が言えば「支持率が下がっているぞ」とか「参議院選挙で負けるぞ」とか言って、後のことを考えずに目先の点数稼ぎにうごめきます。僕は「変な総理大臣談話」ならいっそズバッと「談話は辞めた！」と言う方が「妥協の産物」よりもましではないかと思います。