たまには、仕事の話を。
私立文系で、志願者を伸ばしているのは、明治大学の全学部形式が典型ですが、
記述式
漢文
の二つを切ったところです。
自分が苦手なジャンルの試験を受けたくないのは、人情。
漢文を教えていない高校も多いです。
それ以上に多いのは、専門家を抱えていないところです。
たとえば、10人教員がいて、一人も漢文専攻の教員がいないなどです。
なぜかというと、免許制度に問題があります。
文学部国文科を出れば、国語の教員免許状が取れてしまうからです。
定員100人の文学部国文科があるとします。
(そうなっていないところも多いですが)理想の教授陣配置があります。欠けているところは、学界から拠点大学とはみなされません。
ざっくり切ると(中世は1150年からです。日本史の時代区分と厳密に同じではありません)
上代(奈良以前)
中古(平安)
中世(鎌倉室町)
近世(安土桃山江戸)
近代(明治〜)
国語学
漢文学
の七人以上の教員がいて、卒論を担当することになります。それこそ明治大学は、専任教員だけで近代が4人もいたり、國學院大学は、漢文が独立した学科だったり…とこれより増える場合もありますが。
卒論を提出する学生(つまり、専門家候補生)は、
上代 5人程度 万葉集ファン。
中古 25人程度 圧倒的に源氏の人気です。
中世 5人 徒然ファンはいても、能楽は超不人気です。
近世 15人 歌舞伎好きは多いです
近代 40人 三島らの人気、作家志望もありますが、怠け者は自動的にこうなります。
国語学 5人程度 無味乾燥と思われがちですが、文法研究は面白い。後で目覚める人も多いです。
漢文学 2人
こんなところが相場です。
つまり、構造的に漢文の専門家は育たないという環境です。
自分が専門ではないとしたら、教えたくないのが人情。教え方が下手になるのは、理の当然です。
だから、教員採用試験では、漢文のすごいものを課すべきですが…
うまくいっていませんね。
記述も同じです。
書けなくても卒業できるシステムであり、教員に採用されるシステムです。
だから、生徒が書けるようになるはずはありません。
今、文科省のしていることをみると、
この二点のような、ツボに切り込んでいません。
定員がどうのというのは、あまりにも多くの大学を認可しすぎたツケが回ってきて、大学も分止まりを読めなくなったからです。
第一義的に文科省の責任であって、個々の大学の責任ではありません。
助成金カットなら、漢文と記述を出さない大学に対してやったらどうでしょう。
私大の定員超過分は助成減額へ
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3472195
ログインしてコメントを確認・投稿する