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2008年01月02日23:34

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槍平の遭難事故4名死亡に遭遇

元旦に槍平で遭難事故があった。
4人が死んだ。
事故現場のすぐ近くにテントを張っていた。
これから連載で日記に書いていく。
物語的構成を考えてクライマックスから書こうかとも思ったが、死者への悼みを考えて時系列で書くことにした。

12月29日夜、名古屋近郊の某所で集合した。
今回のパーティーは7人だ。
新穂高から入山して槍平から槍ヶ岳を目指す予定だったが、年末年始の天気予報は最悪だ。
槍平で酒でも飲んで帰ってこようと軟弱な意思統一のもと、平湯温泉のバスターミナルに着いた。
降り注ぐ雪を凌ぎながら仮眠をした。

12月30日、早朝に起き出して新穂高温泉に向かう。
相変わらずのひどい雪だ。
新穂高についても登山口は閑散としている。
午前8時10分、登山を開始する。
雪の中、とぼとぼと歩いて谷の中に入っていく。
穂高平、滝谷避難小屋を越える。
槍平までの登りにさしかかるとき、一番最初のパーティーが雪の中一生懸命ラッセルしているのが見えた。
後続パーティーが蟻の行列のように連なっている。
わたしたちのリーダーが声をかける。
「先頭代わりましょうか!わたしたちワカンを持ってます!」
ほかのパーティーを追い抜き、ほとんど先頭に立った。
わたしは快適なテント場を確保しようと急ぎ足で槍平に向かった。
午後3時頃、槍平に着いた。
山小屋と冬期避難小屋の間にある空き地にテントを張る。
7人のパーティーなので、二つのテントを並べて設営した。
さっそく宴会が始まる。
夜までテントの中で酒を飲んで寝た。

12月31日、自然の目覚めで起きた。
今日は一日槍平で停滞だ。
朝から酒飲みが始まる。
天気が悪い冬のテントの中では、酒を飲むかテントの周りの雪掻きしかやることがない。
食料はたっぷりある。
たちまちのうちに日が暮れて就寝の時間だ。
明日は早いうちに起きて下山して温泉だ。
のんびりした気分で眠りにつく。

午後11時28分、隣の仲間のテントから声が聞こえた。
雪が崩れてテントが埋まったようだ。
眠い目をこすりながらテントから出て雪掻きをはじめる。
相変わらず雪は激しく降っている。

午後11時50分ごろ、人の叫び声がした。

(続く)

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