おじいさん

私は週一回のペースで、２０分ほど歩いたところにあるスーパーへ買い物に出かける。
そのスーパーからの帰り道に必ず出会うおじいさんがいる。
私も立派なおばあさんだが、私よりもっと齢のいったおじいさんである。
そのおじいさんは、腰がひどく曲がっているうえ✕脚で、杖を頼りにおぼつかない足取りで、４．５歩歩いてはちょっと足を止めて休み、また４，５歩歩いては歩を止める。
杖が頼りなので、手には買い物袋は持たず、リュックのように袋を背にかるっている。
ある時、そのリュックの下の洋服がめくれあがっていたのに気づいた。私は服を整えてあげようかとも思ったが、何となくためらわれて、気づかぬふりをして通り過ぎた。
毎回そのおじいさんを目にするたびに、気の毒で仕方がない。
こんなに不自由な体でありながら、自分で買い物に出かけるのだから、奥さんはいないのだろう。子供さんもいないのかしら。民生委員に相談できないのかしら。
先日は横断歩道で見かけた。信号が青になってすぐわたり始めたおじいさんだったが、ものの三分の一の距離を行ったところで信号は赤に変わった。私は何もできないまま、おじいさんが横断歩道を無事に渡り終えるのを見ていた。
全く不甲斐ない私である。