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2019年11月05日01:42

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眉村卓、亡くなる

■作家の眉村卓さん死去=SF作品「ねらわれた学園」など、85歳
(時事通信社 - 11月03日 14:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5850557

自分にとって、人生で初めてハマった作家だった。
小・中学生の頃、この人のジュヴナイル作品をよく読んだ。
「なぞの転校生」や「ねらわれた学園」が1番有名だろうが、作品としてその2作が傑出しているということはなく、どの作品も読みごたえがあったと記憶する。
自分の記憶では「ねじれた町」と「閉ざされた時間割」が特に面白かったように思う。

その後ジュヴナイル以外の作品も読むようになって、トータルで30〜40冊くらいは読んだろうか。
1人の作家でそれだけ読むのは、自分としてはすごく多い分量である。
好きな作品は、やはり代表作である「司政官」シリーズ。
特に文庫で全3巻となる長編「消滅の光輪」は、日本SFの最高峰といっていい傑作。

これらの作品に顕著な、眉村卓の特徴は、徹底して「インサイダー」を描いたこと。
えてして小説や映画などの表現は、「アウトサイダー」を描くことが多い。
ある意味それが表現の役割ともいえるわけで。
でも、眉村卓は、「インサイダー」、体制内部、組織内部の人間を描いた。
組織の力学に翻弄される登場人物たちの姿は、集団主義的な日本社会に生きる私たちと重なるところが大いにあったりするわけである。
だからこそ、眉村卓のSFは、欧米にはない日本独自のものとなったのだ。
自分にとって人生で1番長く付き合った、本当にかけがえのない作家だった。
心よりご冥福を。


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