例えるならば、「アメリカン・ニューシネマ」のような作品。
「アメリカン…」は1970年代頃に流行ったスタイル。
過去の名作映画は、「善良な主人公が、立ちはだかる悪党達を苦難の末に倒してハッピーエンド」というストーリーが主流でしたが、「アメリカン…」は必ずしも主人公が幸せにならないんですよね。
ベトナム戦争で社会的不況に陥って泥沼状態になった、当時のアメリカの状況を反映していて、「努力しても報われない」、「最後には破滅が待っている」…、という社会的な不安感が根底にあります。
この作品のモチーフになったと言われる、ロバート・デ・ニーロ主演作品「タクシードライバー」も、主人公がベトナム戦争に参戦した後に心を病んでしまって、破滅的な衝動に駆られてしまった…。
この作品が高評価なのか?は、主人公が何故に悪の道に走ったのか?にあると思います。
心優しい主人公が、周りの状況に振り回されて、やがて歪んでいくところが丹念に描かれていて絶妙!
例えとして少し違っていますが、三島由紀夫の小説「金閣寺」の主人公の心理描写を見ているような感覚。
「格差社会」、「精神障碍者」、「老老介護」など、普段なら見たくないテーマが出てきて、見る人によってはとても不愉快かもしれません。
個人的には、クリームの曲「ホワイト・ルーム」が聴けたのが楽しかったw
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