6月17日(月)
コロンビアのカルタヘナに着いた。
治安が悪いところだと聞いていた。
でも、まったくどうということはなかった。
ガルシア・マルケスが世界で一番美しい街だと言った旧市街を歩く。
いくら美しくても、旧市街というのは面白みがない。
新市街のショッピングモールのほうが楽しかった。
それからカルタヘナを出港するときにペリカンの群れが飛んでいた。
かわいらしかった。
6月18日(火)
コロンビアのお隣のパナマに着いた。
パナマ運河がある国だ。
パナマ運河は大きな人造湖がある。
ガトゥン湖という。
そこを遊覧船で見学した。
立ち枯れの木があって大正池のようだった。
6月19日(水)
パナマ運河を大西洋から太平洋に抜ける。
ガトゥン湖は海抜が26メートルだ。
だからまず運河に入ると閘門がある。
そこで水位を上げて次の閘門に移る。
3つの閘門でガトゥン湖と同じ水面の高さにして、湖を横断する。
太平洋に近づいたら、また閘門がある。
今度は水位を下げていき、海抜0米になったら太平洋に出る。
砂漠に堀を通しただけのスエズ運河と違って面倒くさい。
でも前方デッキから眺めていると面白い。
水が満ちてきて船が上がったり、水が抜かれて船が下がったりするのを一日中見学していた。
6月28日(金)
イースター島に上陸する。
モアイしか見るものがない。
イースター島には大きな港がない。
船から10人ぐらいずつ地元の漁船に乗り移り島まで行く。
だから全員がイースター島観光を終えるまで三日間かかった。
自分が上陸しない日は船の中で待機している。
なかなかのんびりしていてよかった。
7月2日(火)
イースター島を出て三日目。
南太平洋の真ん中で船は停まった。
今日は皆既日食がある。
9時12分、太陽が欠け始める。
この日のために国立天文台の人や科学者が乗り込んできていて、船内放送で解説をしてくれている。
事前に何度もレクチャーもあった。
天体望遠鏡がオープンデッキに用意され、みんな代わる代わるに覗いている。
わたしも太陽観測メガネをかけて見つめていた。
太陽は半分になり、三日月型になり、ますます細くなる。
明るさは変わらないけど気温が下がってきた。
涼しい風が吹いている。
皆既10分前から船内放送はカウントダウンを始めた。
船の乗客は全員がオープンデッキに上がり、観測メガネをかけて太陽を見つめている。
ちょうど雲が出てきた。
太陽が最後の光を放つダイヤモンドリングが見えない。
10時34分、皆既日食になった。
あたりは夜のように暗くなる。
空には星が見える。
雲の切れ間から黒い太陽が顔を出した。
太陽の周りにはコロナが光っている。
幻想的な風景。
皆既日食というのはこういうものなのか。
体がぞくぞくしてくる。
安物カメラで撮影したのでこの感動を伝えられないのが残念だ。
とにかくこの世のものとは思われない時間が流れるのだ。
皆既の時間は4分間だけ。
終わる寸前に太陽はまた雲に隠れた。
だから皆既の終わりのダイヤモンドリングも見られなかった。
雲が切れた頃、太陽はもう三日月型になっていた。
日食は一度見るとクセになるという。
たしかにこれほどの非日常は他に経験できない。
こんどは2021年12月4日、南極で皆既日食が見られる。
よーし、南極へ行くぞ。
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