矢面にも立てずに陰からじめじめと
それが美徳などと思い込みながら
自分の型に誰かの風味を注入して
蓋をして目を瞑りぶんぶん振れば
誕生するにはまだ幾らか早かった
開花を見送る春をそのまま伸ばして
いずれ凍結させて一周した気になる
四方を囲まれて万事休すでようやく
状況を飲み込んだように思えても
まだ稚拙な精神の根を掻いて逃れる
ぼくの中に誰が這入っていますか?
怯えた瞳に問いかけるけれど
お願いもう問い質さないであげて
もうこんなになってしまったから
不在の野原に棒をつつきまわしても
がさがさと空気の音が乾いていくだけ
そこにいるのかいないのかだなんて
ぼくの箱はいつもここにあるのに
何も入らないままきみの箱の中さえ
見てみたいと思うようになってしまう
きみの中にきみは入っているんだと
信じて疑わないまま打診をしている
ぼくを相変わらず見失ったままで
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