財布のヒモが硬い。
ある一部のものにだけ。
身につけるものに対しては。
異様に。
なにか覚えてないところで服にトラウマがあるのかもしれない。
覚えていることといえば幼い頃、
服についているボタンがキライだった。
ナゼと問われればうまく説明できないが
根拠なく拒否反応。
今は平気だがボタンの種類によっちゃあ
幼き私の感覚が顔を覗かせる。
似合うというのが問題なのかもしれない。
違和感というのがキライなのかもしれない。
私の中での服の価値というのは低いことだろう。
選ぶのが何よりも難しく感じる。
一歩が踏み込めない。
その場で固まってしまう。
服に睨まれた私。
たちどころに石化。
選んでいるだけで脈が乱れてくる。
わたしの心を惑わせる。
服の誘惑に負けれない。
服は実はサキュバスかもしれない。
私は服の前では降伏する。
絶倒する。
それは見事に床に手をつき膝をそろえて
床と額を誓い合わせるのだ。
基本私は人の心にお金を払いたい人間だ。
心の込もってないものには
お金を払いたくない。
気持ちよく財布から手は出せないと。
私は財布から気持ちよく手が出せるものを心待ちにしている。
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