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2018年04月13日00:31

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中山道を歩く、佐久平から笠取峠を越える

3月30日(金)

岩村田〜塩名田〜八幡〜望月〜芦田〜長久保


7時30分、佐久のホテルをチェックアウト。
旧中山道に戻り、踏破の旅を続ける。
佐久市の旧市街が岩村田宿だ。
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すぐに街なかを抜けて住宅街から田園地帯になる。
佐久平は大きな盆地だ。
彼方まで田んぼとリンゴ畑が広がっている。
その向こうには両側に二つの山がある。
右手は浅間山、左手は八ヶ岳だ。
どちらの山もまだ残雪がある。
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いま思えば、ここがいちばん素晴らしい景色だった。

佐久平を過ぎようとするところに神社があった。
駒形神社という名前だ。
本殿が重要文化財だから参拝した。
でもあまり面白いところじゃなかった。
期待はずれで帰ろうとした。
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そしたら鳥居の近くに楽しいモノがあった。
「子宝の神様」と木札に書いてある。
男根と女陰の形をした石だ。
こっちの方を重要文化財にすればよいのに。
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塩名田宿を過ぎると千曲川を渡る。
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すぐに八幡宿に着く。
宿場の名前のもとになった八幡神社にお参りする。
ここも本殿が重要文化財だ。
境内を探したけど、子宝の神はなかった。
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神社の前にバス停があった。
待合所が年代物で風格がある。
内部の壁一面に古い広告があった。
ブリキを貼り付け、ペンキで文字を書いている。
かなり前のもので、ここにあるお店や会社のほとんどは廃業しているんじゃないか。
神社の本殿より、こっちの方が重要文化財にふさわしい。
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八幡宿からは国道、住宅街、山道と中山道は目まぐるしく状態が変わる。
道標が何種類も出てきて、ときどき間違った方向を指し示していたりする。
よくわからんままに歩く。
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11時過ぎに望月宿に着いた。
ここも静かで古い町並みだ。

食堂があった。
みそかつ丼がウリのようだ。
ちょうどお昼だったので食べてみた。
名古屋の味噌カツとは似ても似つかぬ、変なのだった。
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わたしはこれまで、地方の味噌カツをいくつか食べた。
鹿児島、広島、石川、山形…。
いずれも味噌カツを誤解している。
矢場とんに行って修行してきてほしい。

味は期待はずれだったけど、店内の雰囲気は良かった。
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望月宿の次の宿場は芦田宿だ。
ここを過ぎると、すぐに笠取峠だ。
この峠道は旧中山道の松並木が残っている。
長さは約2キロ。
松の木のうち一割ほどは江戸時代からのもの。
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緩やかな石畳の坂を登っていく。
初めて旧街道を歩いている気分になった。

並木道が終わると国道に合流。
1キロほど歩くと笠取峠だった。
国道が普通に走っているので、碓氷峠のような感激はない。
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下りは国道を離れ遊歩道を歩く。
降りきって五十鈴川を渡ると長久保宿だった。

吾一庵と書いてある古い建物があった。
「ご自由にお入りください」と書いてある。
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入ってみると中には誰もいない。
勝手に二階へ上がり込んだ。

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骨董物がケースに入れて展示してあった。
能面がずらりと並んで不気味だ。
ガラスケースの中には日本刀が三振りほど入っていた。
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いいのだろうか。
無人なのに防犯カメラも非常ベルもなさそうだし。

まあしかし無料なのに良いものを見ることができた。

長久保宿で有名なのは、真田幸村の娘の嫁ぎ先があることだ。
本陣の家で石合家という旧家だ。
いまでも建物が残っていて、子孫の表札がかかっていた。
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長久保宿を過ぎる。
国道152号に入る。
中山道はすぐに橋を渡るけど、今日はまっすぐ進む。
1キロほど歩くと「民宿みや」があった。
16時30分に到着。
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ここから先の中山道は23キロのあいだ宿泊施設がない。
だから中山道の人は民宿みやで泊まるか、和田峠の途中にある東屋で野宿する。
民宿には中山道関係の本が何冊も置いてある。
オーナーもアウトドアな人で、中山道情報に詳しかった。

こんな話もしてくれた。
中山道を示す標識にはいくつか種類がある。
長野県が立てた標識は交通事故を起こさないように安全な道を選んでいる。
それでは行けないと判断した長和町の教育委員会が正しい道に標識を立てた。
中山道歩きは教育委員会の青色の標識を追っていけ。

どうりで途中、おかしな方向に導かれ道に迷いそうになったわけだ。

今夜の宿泊客は、わたしの他に二人だ。
どちらも中山道踏破の人だった。
だから情報交換や経験談で話が尽きることがない。

みんな心配していたのが和田峠の残雪の状態だ。
オーナーに尋ねても、まだ今シーズンは峠越えをした人がいないから分からないそうだ。
自分はいちおう雪山の装備を持ってきている。
だからもしかして時間がかかるかもしれないけど、越えられないことはないと思う。
できるだけ先に行きたいので、明日の朝は早くに出発する。

そう言ったら他の二人は、ほっとしたようだ。
じゃあ、あなたの足跡を追って登っていきます、これで安心だ。

責任重大だなあ。
オーナーからも、峠に着いたら連絡してください、これから中山道踏破の人たちがたくさん来るから情報を伝えなければいけないのです。

ますます責任の重圧がのしかかる。


ということで、次回はクライマックスの和田峠、その次が最終回の鳥居峠で、つづく。
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