mixiユーザー(id:7385739)

2018年04月30日14:31

412 view

ジェニファー・ローレンスだけじゃない「レッド・スパロー」

「レッド・スパロー」は、ジェニファー・ローレンスの映画である。

ロシアの女スパイものということで、数年前に米国政界を揺るがしたアンナ・チャップマンをジェニファーが演じるものとばかり思っていた。雰囲気も似ているし。
緊迫感あるスパイものに仕上がっていて、これはよい。

バレエ団のプリマとして踊っている場面では、相手の男が、セルゲイ・ポルーニン。
英国ロイヤル・バレエのトップだった人だよ。
主役のドキュメンタリー映画も製作、日本でも公開されている人よ。

スパイ学校に入ると、先生がシャーロット・ランプリング。
にこりともしない。平気な顔で、教室の皆の前で「服を脱いで男を誘惑しろ」と言う。
それでも裏で人情を見せるかと思えば、そんなことは全くない。
学校へ行くまでの何もない雪っ原がいい。

任務についたら、上役はセクハラ親父。
同部屋の女性も何やら活動しているが、酒浸りになっている。

ジェニファー・ローレンスがプールでターゲットを誘惑する場面の水着姿もすごかったんだけど、この映画のニューヨークのプレミアで披露したディオールのドレス姿がもっとすごかった。(写真 中)
ジェニファーって、「X-MEN」でも体形があらわになるミスティーク役を演じているけど、自信があるんだろうね。
でも、どことなく洗練されていない感じが今回のロシア女スパイにつながるのだなぁ。
完璧じゃなくて、どこか付け入るスキがありそうなところ。
それがスパイにとっては大事とランプリングも語っていた。

スパイものはクールできびきびしていないと。
感情は見せないで、いたぶられても耐える。それはダニエル・クレイグの007「カジノ・ロワイヤル」でもあったような場面だけど、この映画では本当に痛そうに見えるからよい。

何よりも驚いたのは、実はエンドタイトルである。
劇中、最初にプリマとして踊った曲としてグリーグのピアノ協奏曲の第2楽章が流れてくる。
エンドタイトルでは、それを受けてか、グリーグの「ペール・ギュント」の旋律がちょろっと流れてくる。全体としてシンフォニックで結構いい音楽である。
音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード。
監督のフランシス・ローレンス、ジェニファーとは、「ハンガーゲーム」以来の付き合い。
でエンドタイトルを見ていたら、エサ・ペッカ・サロネンの文字が。。。

後で調べてみたら、
なんとまぁ、映画の冒頭からバレエの場面まで流れている音楽「overture」と「end title」の指揮が、サロネンだった。(他は違うらしい)

贅沢な、なんと贅沢な。

サロネンは、ロサンゼルス・フィルを指揮して、バーナード・ハーマンのヒッチコック映画音楽集のCDを出してはいるが、そんなに映画音楽に関わっている人ではない。
クラシック音楽の大指揮者であり、特に近現代音楽では目覚ましい活躍をしている。
サロネンは英国のフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者でもあり、また、この映画の音楽はバーナード・ハーマンを彷彿とさせるものだった。
映画はハリウッド製作と見えて、実は英国が製作の舞台で、音楽も英国録音のようだ。

劇中のグリーグのピアノコンチェルトは、スディーブン・コヴァセヴィッチのピアノ、コリン・ディヴィス指揮のBBC交響楽団の演奏。
そして、これも劇中に流れていたらしい(自分はよく覚えていない)が、モーツアルトのピアノ曲がいくつか。
 ピアノソナタ第1番、第8番
 (昨日のTVアニメ「ピアノの森」では第2番が演奏されていたなぁ)

この演奏が内田光子だった。

ジェニファー・ローレンス以外にもぜいたくな映画だった。
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する