『勝手にふるえてろ』
監督・脚本 大九明子、原作 綿矢りさ、撮影 中村夏葉
出演 松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海
よかった。実によかった。
監督の名前、「犬丸」(いぬまる)だと思っていたら、よく見たら「大九」(おおく)だった。
松岡茉優がヘンに気負った感じになっていない。こんな子もクラスにいたな、というイメージ。
街中の会話はそうだろうとわかるように撮られているが、突然のうたから、自分の孤独を知り、また、会社の同僚から裏切られた気持ちになっていくあたりは、
「思い」を中心に構成されている映画の中で、「思い」がふっとんでしまった後に残ったものを見せているということだろう。
快活なカットつなぎのテンポがすこぶるよい。
実家に帰っても、両親は全く見せず犬と自分の部屋の枕(カバーがオタク系なのが設定をつくりこんでいる感がある)という潔さ。それでいて脚にケガをする。
「思い」で痛みも何も感じないという幸福感。
現実を再認識してからのクライマックスのセリフが「勝手にふるえてろ」なのは、
1月という時節もあってのことだと思うので、あの雨の場面ではもう少し寒さが感じられていたらなぁ、とも思う。
会社でOLの皆さんがお昼寝する場面がいい。
わざわざ松岡が脚を閉じるカットが入るところがちょっとエロスを感じさせる。
大九監督は、人力舎のタレント養成所出身、映画美学校にいた人で、黒沢清の弟子にあたる。
黒沢清との対談がおもしろい。
<「来年の日本アカデミー賞で会いましょう!!」恩師・黒沢清監督の鼓舞に大九明子監督、感無量「映画にしがみついてきて良かった」『勝手にふるえてろ』公開記念トークイベント> 映画ナビ
http://eiganavi.entermeitele.net/news/2018/01/post-2a05.html
次回作はシソンヌじろう脚本で、黒川芽衣主演「美人が婚活してみたら」。
またも芸達者な黒川主演だ。これも期待大。
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