【美術】「古代の造形−モノづくり日本の原点」

皆様、お今晩は。宮内庁三の丸尚蔵館にて12月10日迄開催されている「古代の造形−モノづくり日本の原点」を観て参りました。その感想です。


宮内庁には，歴代の天皇，皇后をはじめとする皇族方を葬る陵墓等を管理し，調査研究を行う書陵部陵墓課があります。ここでは仁徳天皇陵から出土した「女子頭部」や「馬形埴輪」をはじめとする優れた出土品を多く所蔵しています。その中には，独特の形をした「御物ぎょぶつ石器せっき」，美しい流水文様が洒落た「流水文銅鐸」，それまでの鏡に独創性を加えて当時の日本の家屋を立体的に表した「家屋文鏡」など，古代の様々な優れた造形表現を示す数々の作例が含まれており，これらは日本文化の基礎期を彩る重要な作品です。一方，昭和天皇まで御物として伝えられていた作品を引き継いだ三の丸尚蔵館には，学術的に貴重な資料と評価される「金銅製四鐶壺)」や類例がほとんど知られていない「金銅装横矧板鋲留衝角付冑」など，注目すべき優品があります。

本展では，こうした書陵部と三の丸尚蔵館が所蔵する考古資料のうち，それらが使用されていた頃の姿を留めた作例を中心に，主に石・土・金属などの素材や製作技法に注目して，その造形的な特徴に焦点をあてて紹介します。

美しい緑色の翡翠の勾まが玉たまや，南の海でとれる貝を使った腕輪の特徴を表現した不思議な形の鍬形石や車輪石などの「石の造形」，古代の大らかな精神性を感じさせる埴輪や，巧みな轆轤ろくろの技術を用いた須恵器などの「土の造形」，躍動する神獣や複雑な幾何学文様がほどこされた銅鏡や，金色のまばゆい輝きを放つ装身具などの「金属の造形」，それらのいずれもが，わが国の古代の人々の豊かな美意識と造形力を示しています。本展の出品作品にみられる素材と技術・技法が織りなす造形美を通じて，モノづくりの伝統を誇りとしてきた日本文化の古層に注目していただければ幸いです。

この日は皇居乾門通り特別景観の為、皇居東御苑も通常では考えられない程の混雑ぶりでして入館の際に入場制限を行っているという前代未聞の出来事がありました。普段は閑散としているこの三の丸尚蔵館でも展示物の前に人垣が出来ていると言う塩梅でして、それはそれで貴重な体験をしたのですが、やはり驚いたのは「書陵部陵墓課」の存在でして、古文書を扱うだけではなくて出土品迄扱っているから驚きなのであります。更にややっこしいのは、古来から皇室で伝来されてきたものに関しては管轄が「書陵部陵墓課」ではなく「三の丸尚蔵館」蔵になってしまうところでして『金銅装横矧板鋲留衝角付冑』に関しては、伊藤若冲の『動植彩絵』や狩野永徳の『唐獅子図屏風』と同じ扱いになってしまうところにビックリしてしまったのであります。
今回の展示は東京国立博物館の平成館の一階にある「考古展示室」では？と勘違いしてしまったのは自分だけでは無いでしょう。


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