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2017年12月02日09:21

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マスターができるまで 久々 1412

カワタカは俺の声を聞くと
『そんなに大きな声だすなよ。』
と言った。
それは余裕綽々と言った感じの声だった。
俺はさらに突っかかって行きたい気分になったが、ガラス一枚隔てた向こうで母と話し合っているリエの存在が気になると
『それもそうじゃけど、、』
と言わざるおえなかった。
カワタカはにわかに笑いを含んだような声になって
『今日はお見舞いどうじゃった。
オバさん孝行してきたか』
と聞き、
『でも残念じゃったな。
俺も会いたかったんじゃけどな。』
とうれしい事を言ってくれた。
俺が
『ほんま?』
と聞くと、
『でもオバさんのお見舞いじゃったら仕方ねぇよな』
と付け加えた。
俺は
『仕方ねくはねいよ』
と言いたかったが
『残念じゃったな』
と言ってくれたカワタカの言葉にいくらか救われた気分になり
『まぁそうじゃけど、、、』
と言い
『じゃけどアホらしいお見舞いじゃったわ
従姉妹が叔母ちゃんにむかって甘えた声出してからに、
まぁ久々にあうお母さんじゃから仕方がないと言えばそれまでじゃけんど
なら、ワイの存在、必要ねんじゃね?
って言いとうなったわ』
と答えた。
するとカワタカは
『へぇ、、
意外じゃな』
というと
『アノ気の強そうなリエちゃんにそがな一面があったんじゃ。
俺、気の強い女の子の脆い一面って好きじゃな』
と言った。
俺は耳を疑いたくなった。
いつカワタカはリエの名前を知ったのだろう。
俺はあくまでリエの事は
『タジマから来た従姉妹』
としか言っていないつもりだった。
俺は聞いていいものか悪いものか判断がつかなくなって、それでも聞かなかったらきっと後から後悔する事、間違いないと思ったので
『あんたなんでリエちゃんの名前知っとん?』
と聞いた。
母と話しているリエがその時、俺の方を見たのは気のせいだったのだろうか。
俺の声が大きすぎてガラス窓を通じてリエの耳にまで達してしまったのだろうか。
そんな事をとっさに考えている間にカワタカはさもおかしいと言った感じに
『なんで知っとんって
決まっとるが。
ボロが教えてくれたんじゃがな
じゃなかったら知るもんか』
と言った。
俺は
『いつ教えた。
そんな覚えないわ』
とさらに突っ込んで行った。
すると行けば行くほどカワタカはクスクス笑いの度を深め
『いつ教えたって、そんなん詳細に覚えてないよ
でもボロから聞かなんだら知りようがねかろ。
そんな個人的な事。』
と言い、
『ボロはジェラシーの塊じゃな
火みたいになるから怖い怖い』
と言った。
俺が
『あんた!
人をおちょくるのもタイガイにせられぃよ』
と怒鳴った時、俺の背後から
『あんたこそタイガイにしなせぃ
長話ばぁして
アホらしいことで』
と不意をついて母が叫んで来た。
俺は不覚にも近くに母とリエがいる事を失念していたのだ。
『あ!』
と思った俺は慌てて周囲を伺った。
立っているのは母だけだった。
離れの自室に戻ったのか、リエの姿は消えていた。

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