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2017年06月04日23:16

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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」

92年公開だったのか、あれから大分たったものだ。
エドワード・ヤンは没後10年、生誕70年で、今回の4Kデジタルリマスター版が製作され、
92年公開時が3時間8分だったのが、3時間56分になった。

当時見たものよりも大分長いのだが、印象は全くかわらないというか、ああこの感じ、って。
まだまだ長くても見続けられるし、見ていたいと思わせる。

1960年、台湾。定時制中学というところから、すでに明るい感じがしない。そして、学校の隣が撮影所。そこに忍び込んで、天井裏から撮影風景を見ていた主人公少四(チャン・チェン)が、懐中電灯を盗んでからの物語。
闇と光。

中学生は映画にしにくい。
高校生なら、大人が演じることができる。
中学生は中学生しか演じることができない。

この映画の出演者もほぼ、同年齢の子どもたち。
中学生は、妙に大人っぽい子や、まだまだ子どもっぽい子もいる。

居場所がない子どもたちは、中国から台湾に渡ってきた大人たちの子ども。
住む家は、日本人が住んでいた家。
押入れの中が、居場所となっている主人公。
懐中電灯が唯一の灯り。

90年台にフィルムで、あの闇を撮影していたというのは奇跡的とも思える。
本当に雨の闇の中で、懐中電灯の灯りだけを使った、衝撃的な場面が描かれている。

デジタルリストアは、マ-チン・スコセッシの手によるものだが、ストリート・ギャングの抗争という
ところは、彼の描いてきたものと通じるのかもしれない。

しかし、ハリウッドのような映画づくりとはまるっきり異なる、まるごと世界を切り取るかのような
映画である。

それでも最後の最後、主人公が思いを寄せた彼女のその時の生活ぶりを見せない
ところが、エドワード・ヤンの優しさかとも思う。

実は、ハニーの声は、監督が吹替していたという話が「リアルサウンド」のチャン・チェン
インタビューに掲載されていた。
http://realsound.jp/movie/2017/03/post-4449_2.html
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