mixiユーザー(id:212781)

2016年11月03日02:40

316 view

頽廃の宿を探して

数的優位に立った絶望がぼくを見下しはじめる
浸食されずに僅かに残った夢見がちを集める
蟻が砂糖細工をもぐもぐ運んでいるみたいに
連れ去られていくから地面をただ見つめてる

見えないボードに掲示された数字を眺めては
得失点差を最小限に抑えていようとしてたけど
溢れだした涙がそのうち歪みを決壊させてくれる
怖すぎる瞬間はなんとなく楽しみな瞬間だから
風のない場所でゆらめいている蜘蛛の巣を見て
絡め取られる肢体の長さを目分量ではかっていた

死角こそ目視するのが趣味だった月日は流れて
見えやすい位置こそどこよりも盲点だったから
目の前にある身近なものへの愛着と親近感を
疑いのまなざしで愛され過ぎて壊れた心臓を聴く
根拠なく妄執を振り払うために頭を振るけれど
落下するのは秘かに囲い仕舞っておきたかった物
造作なく落城する様子が落日と重なり合った

中身を失った張りぼてになれるならば
廃墟のデパートにゆらゆら漂うなら
出会う場所は思いがけない僻地で
愛すべき辺境で忘却の彼岸へ
旅に出るよぶらり片道切符
辺鄙な顔した架空の駅で
いつもとりとめない話
耳元で囁いてくれる
泊まる宿で聴く
雨の音色だけ
心に沁みて
抱く面影
無の夢
潜る
7 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年11月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   

最近の日記

もっと見る